アメリカンフットボールの関学大対日大の定期戦(6日・アミノバイタルフィールド)において日大の守備選手(3年)が関学のQB選手(2年)に悪質な反則タックルを行い、全治3週間の負傷を負わせた問題についての疑問が今なお判明しない。

 日大の守備選手は、プレーを終え無防備な関学のQB選手に背後から“暴力”とも取れるタックルを仕掛けた。スポーツマンシップにもとる極めて悪質で生命にさえかかわる危険な反則タックルが、なぜ行われたのか、という経緯の部分が、明らかになっていないのだ。

 日大は記者会見も開かず、内田正人監督が“逃げて”事情を説明しないため、現在、断片的な情報だけが飛び交っている状況。日大が15日、関学大の抗議文に対して返答した文書内で、それが明らかにされているのかもしれないが、そこに監督、コーチの指示があったのか、或いは、選手の自発的な行為だったのか。監督、コーチの具体的な指示がなくとも、選手が、そう受け取るような背景があったのか。

 ミーティングを重ね、コーチの指示の下動くアメフットの競技特性と、反則後のサイドラインでのチームの当該選手に対する対応の姿からも見て、当該選手が勝手に暴走しただけとは考えにくい。だが、一方で、さすがに「痛めてしまえ!」までの具体的な指示が監督から“春の定期戦”で当該の守備選手に出ていたとも考えられない。ただ、当該選手が、そういうプレーに暴走せざるをえない状況に、指導者及び、チームの体質が追い込んでしまっていたという可能性は否定できないだろう。

 日本におけるスポーツ心理学の権威で、これまでプロチームや五輪柔道チームのメンタルトレーニング部門を担当、アメリカンフットボール部も指導したこともある東海大学体育学部の高妻容一教授は、当該選手の心理をこう分析する。

「ここまでの報道によって知りえた情報とプレー映像を見ての推測であり、あくまでも一般論としての私の意見であることを承知していただきたいのですが、あの選手は悪質で危険なタックルを行った後にも、つかみあいをしているような場面がありました。アンスポーツマンライクコンダクトと呼ばれる反則行為です。選手はキレているように見えました。非常にメンタルの弱い選手に感じました。日大の監督さんの“あれくらいやっていかないと勝てない。私の責任”というコメントなどから察するに、選手は相当なプレッシャーを感じていたと考えられます。もちろん個人差はありますが、チームの指導者がスパルタ式に圧力をかけて、その雰囲気や、空気からメンタルが弱くて精神的に追い詰められてしまった選手は、その行為の善悪を区別することができなくなる場合があります」

 環境や状況、そして精神状態によっては、その行為の善悪さえ判断できない状況に追い込まれるケースがあるというのだ。

つづく

THE PAGES 5/16(水) 6:11配信
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