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■安室透バブルで関連商品爆売れ! 作品を生き長らえさせるための“覚悟の浪費”が顕著

 前述の通り、オタク女子の心を鷲掴みにした安室効果で、関連商品が軒並み爆売れ状態になっている。安室が表紙になった10日発売のアニメ雑誌『アニメディア』は重版決定。また、安室透のスピンオフ漫画『名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)』の連載がスタートした9日発売の『週刊少年サンデー』は品切れ続出。さらに、創業90年を超える高知市の印章店「吉本三星堂」の降谷ハンコがバカ売れし、専用の注文フォームを作る事態に。

 こうしたバブルは、ただ売れ筋に乗っかる消費者心理がある一方で、オタク女子たちによる“推しコンテンツを生き長らえさせる”ための覚悟の浪費(お布施)という側面もある。オタク女子の浪費は単純な“無駄遣い”とは異なり、「好きなコンテンツを自分が支えている」という安堵感を得るためや、自身が“推す”コンテンツや作品を「次につなげたい」という願いも込められている。

■「無料で当り前」へのカウンター? コンテンツを派生させるオタク女子の価値基準

 このように、オタク文化を支えるオタク女子の“お布施=愛”は多くのコンテンツを支えている。他方、漫画を非公式に閲覧できるウェブサイト『漫画村』問題で露わになった「コンテンツは無料で当たり前」という価値観も存在する。だからこそ、そうした価値観に対するカウンターとして、作品を愛するがゆえの「コンテンツにお布施(消費)する」というオタク女子の“覚悟の浪費”が注目されているのだ。

 実際、ネットでは「無料でみようと思えば見れるけど、それだけじゃ生産者が立ちいかなくなっちゃう」、「対価として制作者の収入になる公式でお金を使わないと、制作者も人間…収入がなければ生活が出来ない」など、業界全体を俯瞰で見て、対価を支払う重要性を訴える声も増えてきた。コンテンツ産業の未来を憂いて、作品愛ゆえに対価を払うというオタク女子も多いのだ。

 現に、2.5次元やスピンオフ、DVD展開といった具合に、オタク女子が見せる“消費”のパワーは次々とコンテンツの派生に繋がっている。このまま、彼女たちの連帯が安室に“100億の男”の顔を与え、彼にトリプルフェイスならぬ、“クワトロ・フェイス(4つの顔)”の冠を与えることになるのか? そしてそこから生まれる新コンテンツ誕生に期待したい。

おわり