>>134 >>199
山本七平 著 「常識」の研究

・・・日本人優秀説は、何かへの反発のように、ときどき顔を出す。そして、それは何らかの自信喪失・
目標喪失のときや、挫折感を味わっているときに出てくるように思われる。
これは終戦直後のフィリピンの収容所でも出てきたし、事実、アメリカ人やフィリピン人に接してみると、
日本人優秀説を証明しうる事例はいくらでもあった。下級将校・下士官・兵、そのすべてが
素質・勇気・訓練において日本軍に劣り「なぜあんなバカに負けたんだ」がわれわれの嘆声であり、
「結局物量さ」が、その理由の真の探求を放棄した者の安直な結論であった。グアム島の横井氏もそう結論している。
しかし、理由はそんな簡単なことではない。私は砲兵の観測将校だったので、その後にも双方の射法の違いに
関心を持ち続けてきたが、その結論を簡単に要約すれば、日本軍は観測将校の名人芸に依存し、彼らは、バカでも・・・
できるシステムに依存するという違いなのである。したがって、観測将校を比較すれば日本の方がはるかに優秀で「格が違う」、
しかし、彼らは最も優秀な頭脳をそこには投入せず、システムの開発に投入しており、したがって安直な優秀論はできないのである。
(中略)
彼らの射砲では「見えたら、見えた通り、砲側に電話すればよい」のである。これならば何の名人芸もいらず、
昨日入隊した兵隊でもできる。そして砲側には一種の計算盤があり、これにまず前記の三角形を入れておき、
電話で来た誤差を入れれば、砲の誤差が自動的に出るようになっており、この操作もきわめて簡単で、ほとんど訓練なしで使えるのである。
もちろん、その間に一定の時間を必要とするから、日本軍の名人芸のように瞬間的に修正できるわけではない。
ただし、日本的な意味での優秀な人間は中堅幹部には必要ないし、名人芸に到達するための長い訓練も必要でない。
さらに、名人が戦死したら射撃不能になることもないし、損害への人材補給ができず、みるみる戦力が落ちていくこともない。
優秀な人材は、この計算盤をより早く、正確でかつ操作しやすくするため、戦場での経験を取り入れて研究を続け、実践のたびに性能が向上していく。
これがシステムであろうか。
したがって私は、現場中堅幹部日本人優秀説とその行き方の是認に危惧の念を持たざるをえないのである。


山本七平 - Togetterまとめ-
http://togetter.com/t/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E4%B8%83%E5%B9%B3
一知半解なれども一筆言上
山本七平マンセーブログ。不定期更新
http://yamamoto8hei.blog37.f c2.com/

旧日本軍将校「ジャップは自信を喪失している時にホルホルしだす」「設備投資を怠り人力に頼るアホ」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1388155965/
http://log soku.com/r/poverty/1388155965/