昔のイタリア映画『シシリアの恋人』
後にハリウッドに進出し国際派俳優になったオルネッラ・ムーティのデビュー作

マフィアが政治や警察と癒着して権力をふるうシチリア島の貧しい家庭の美少女が
マフィア権力者家系の御曹子に見初められ、迫られる
彼女にあくまでも拒絶された御曹子は激怒して彼女を強姦
彼女の親も周囲も「オマエが言うことさえ聞いておけばよかった、権力者の男はそんなもの」
で、昨今のセクハラ騒動そのままの図式
オルネッラは親にも周囲にも逆らい。すべてを敵に回して彼を告発、警察に逮捕させることに成功

だが、ラストシーンでは、彼の逮捕を知り、友人たちに励まされながらも、涙を流しながらシチリアの町をどんどん歩く彼女の姿があった
本当は愛していたが、正義と自尊心が優先したのだろうか?

並みの監督なら大甘の通俗悲恋物語りになったところだが、『警視の告白』の社会派の名匠ダミアーノ・ダミアニ監督は
甘すぎず、適度に辛口で社会告発的な名作に仕上げた
大甘の着ぐるみをかぶった社会派作品

少女特有の正義感をにじませたムーティの強い視線と唇と眉が、いまだに色あせない名作の印象をいっそうつよめている