0001pathos ★
2018/05/06(日) 16:17:27.83ID:CAP_USER9花道を飾ることはできなかった。ボルシア・ドルトムントが1.FSVマインツ05をホームに迎えたブンデスリーガ第33節。
「本当に彼にもう1試合プレーして欲しかった。もしチャンピオンズリーグ(CL)の出場権を確実なものとし、はっきりとしたなら、彼は本当に出場する予定だったんだ」
GKロマン・ビュルキの言う「彼」とは、もう1人のロマンこと、GKロマン・バイデンフェラーである。37歳のベテランGKは、今季限りで現役を引退する。つまり4月5日のマインツ戦は、バイデンフェラーにとって、本当の意味でホーム最終戦だった。この試合を終えれば、もう2度と永遠に公式戦でジグナル・イドゥナ・パルクのピッチに立つチャンスは訪れない。
試合開始前、マルセル・シュメルツァーは次のように言ったという。
「ロマンは16年の全てをこのクラブに捧げた。僕たちは一層の奮起を促さなくてはならない。ロマンの個人的な別れを可能にするためにね」
“盟友”バイデンフェラーに花道を用意するために、チーム一丸となって勝利を目指す。そうして一体感を高めることは決してネガティブなものではないだろう。だが見方を変えれば、ドルトムントの選手たちは試合に私情を持ち込み過ぎた、とも言えるのかもしれない。
前節ブレーメン戦までにCLの出場権を確保できていたら、マインツ戦でのバイデンフェラーの途中起用はおろか、先発で起用することも可能だっただろう。だが現実的には、マインツ戦を前に、決してドルトムントはCLの出場権を確保していたわけではなかった。そして相手が14位と残留争いの渦中にあるからといって、むしろ生き残りを賭けた最中にあるからこそ、マインツ戦で来季のCL出場権を確保することは決して簡単ではなかったのだ。
●1部残留のために一丸となったマインツ
4分、リドル・バクの先制ゴールを許すと、13分には、左サイドのパブロ・デブラシスからのクロスを武藤嘉紀がヘディング弾。前半の15分も経たないうちに、スコアは0-2となった。チャンスと見るや一気に雪崩れ込むマインツの攻撃陣に、ドルトムントの守備陣は対応し切れなかった。敵将サンドロ・シュヴァルツ監督は今回の試合を控えて、CL準決勝2ndレグ対ローマ戦におけるリバプールのオフェンスを参考にすると語っていた。
ドルトムントは16分にマキシミリアン・フィリップが1点を返したが、そこからが続かなかった。ジェイドン・サンチョがサイドからボールを入れるが、強固な守備ブロックを前に、マルコ・ロイスもマリオ・ゲッツェもシュートを決め切れない。試合の終盤にかけては、ワントップの武藤を除く全員がペナルティエリア内で守ることもあるなど、マインツはチーム一丸となって勝利を、勝ち点3を目指した。
ペーター・シュテーガー監督は言う。
「マインツは示した。何か大きなことを成し遂げようとしたならば、どのように行動しなければならないかをね」
ドルトムントに2-1で勝利したマインツは、ブンデス1部残留を確定させた。
マインツに1-2で敗れたドルトムントは、来季のCL出場権を確保できなかった。よってバイデンフェラーに出番が回ることもない。花道を飾ることはできなかった。
交代枠を、控えGKのために1つ残しておきながら勝利を掴めるほど、ブンデスリーガは、甘くはなかった。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180506-00010000-footballc-socc