組長大槻監督が短期間で浦和再建「名言聞いた」槙野
2018年4月21日20時42分 日刊スポーツ
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浦和の大槻暫定監督(撮影・狩俣裕三)
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試合後の会見でコメントする浦和の大槻暫定監督(撮影・狩俣裕三)
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試合後の会見で浦和の指揮が最後となった大槻暫定監督をねぎらう札幌のペトロビッチ監督(撮影・狩俣裕三)
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<明治安田生命J1:浦和0−0札幌>◇第9節◇21日◇埼玉

浦和レッズの大槻毅暫定監督(45)が、監督としての最後の一戦を引き分けで終えた。

指揮官は試合後、記者会見上で北海道コンサドーレ札幌のペトロビッチ監督と抱擁を交わした。
席に座り、まず口にしたのは「勝ち点3を取れなくて残念。ゴール前のクオリティーはもの足りなかった」。監督の責務を終えた安堵(あんど)はどこにもなかった。

選手は口をそろえて「自信を植えつけてくれた」と振り返る。開幕から5戦勝ちなしで堀前監督が解任され、うつむきかけていた選手に繰り返した。
「俺たちは負けちゃいけないんだ」「上にいかなきゃいけないんだ」。DF槙野智章が「毎回、名言を聞いた」と振り返るミーティングで力強く言い続けた。

大きな声を張り上げるだけではない。選手1人1人を呼び、会話を大切にした。
豊富な運動量で守備にも大きく貢献するFW武藤雄樹には「おまえはゴール前にいてナンボだ」。
献身性も魅力の武藤だが、心の奥底にあるのは「ゴールを決めるのがサッカーをしていて一番楽しいところ」と話す得点への意欲。
個々で異なるサッカー選手としての最大のモチベーションを繊細に見極め、そこに火をつけた。

スーツ姿に、黒のオールバックのヘアスタイル。こわもてで食い入るようにピッチを見つめる姿が「組長」「アウトレイジ」と話題になった大槻監督について関係者は「験担ぎも大事にする人」と話す。
就任前の浦和ユース監督時代の16年には「髪を短くすると勝てる」と、試合に勝利するたびに少しずつ散髪。どんどん短髪になって丸刈り頭になった11月、チームはプリンスリーグ優勝を果たした。

ユース時代はクラブのジャージーで監督エリアに立ち、髪形にもこだわりはなかった。苦境にあったトップチームを任され、「どうにかして雰囲気を変えたい」。
髪を固めてスーツに袖を通したのは、少し大げさにでも自身の情熱を早く、そして大きく見せるためでもあった。

ユース時代から指導を受けるDF荻原拓也が「本当は全然怖くない。怒られますけど、優しいですよ」と明かした指揮官は、試合に勝っても簡単に笑顔は作らない。
約3週間という短い期間でチームを立て直すという厳しい使命をまっとうするために、まず自らが緩みを消した。

就任後、ルヴァン杯1勝1分け、リーグ戦3勝1分け。無敗で約3週間を走り抜いた。就任まで勝ち星がなかったリーグで勝ち数を負け数と五分に戻した。

練習場では選手と同じかそれ以上のサポーターにサインや写真を求められた“名物”監督は最後の会見で
「勝ち負け以上に一体感が大事だとコーチとも話していた。選手は非常にいいトレーニングができている」とはっきり言った。
勝ち点だけでは測れないものをチームに残し、オリベイラ新監督へバトンを渡す。