「普段はすごくシャイ」と自称する少年は、スケートボードに乗った瞬間、全く別の表情を見せた。取材中、
身体とボードを自在に操る驚異的な技を繰り出していく。身長151センチと小柄な大津市の中学3年生は、
スケボーのプロ選手、そして世界王者でもある。
昨年5月、カナダ・バンクーバー。平面の舞台で技を競い合うフリースタイル種目で世界最高峰の大会
「ワールドラウンドアップ」のプロ部門。高難度の技を次々と決め、海外の強豪に大差をつけて優勝した。
「うれしかったけど、普通にやれば勝てるかな、と思っていた」。淡々とした言葉からは、ボード技術への
絶対的な自信がのぞく。来月に控える同大会には王者として臨み「2連覇を狙います」と力を込める。
8歳でスケボーを始めた。子ども用のボードをすぐに乗りこなす息子の姿を見て、書道家の父・昇次さん(52)は
「何か面白い技ができるんじゃないか」と思い付いた。「スケボーの神様」と呼ばれるロドニー・ミューレン氏の
インターネット動画を見せると、勇さんは目を輝かせた。「何これ。めっちゃかっこいい」
放課後に毎日、動画を参考に独学で技を身に付け、週末には国内のプロが練習していた長居公園(大阪市)に通った。
転倒して脚をけがすることも多かったが「やめたいとは思わなかった。痛みも無視して無我夢中でやっていた」。
ボードの側面を立てるなどの技を少しずつ体得していった。
フリースタイルを始めて4カ月後、大人に混じって初参戦した国内大会で12位と健闘。
「身長よりボードの方が大きく見える」と大会関係者は驚いたという。大会出場を重ね、
11歳でワールドラウンドアップのアマ部門を制覇、翌年にプロになった。
「皆を驚かせたい」と言い、オリジナル技を数多く抱える。「イサムフリップ」はボードの側面を立てた状態で横に半回転、
縦に2回転させ、体を180度回して、ボードの上に立つ。体を360度回す「世界で僕しかできない技」にも挑戦している。
抜群の運動神経と思いきや「良くもなく、悪くもないんです」と笑う。球技は苦手。筋力は弱く、腕立て伏せは3回が限界という。
その半面、「バランス感覚はいいと思う」。スケボーの上で逆立ちをした後、ボードの上に再び立つ離れ業を見せる。
国内外にスポンサーを抱え、衣料品大手ユニクロのウェブCMで演技を披露。
昨年夏には人気ミュージシャン「モンド・グロッソ」のミュージックビデオにも出演した。
14歳ながら、トッププロの自覚は十分だ。滋賀県内にはフリースタイルのスケボーの練習場所は少ないといい、
大津市に「スケートパークをつくってほしい」と要望するなど、競技普及にも力を尽くす。
「僕の演技を見た子どもが『フリースタイルをやりたい』と思うような、憧れの存在になりたい」。
天才ボーダーは、さらなる高みを目指していく。
4/20(金) 15:00配信 京都新聞 スケボー世界王者14歳イサム 連覇に絶対的な自信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180420-00000025-kyt-spo
画像 表情にはあどけなさが残る。自身を「シャイな性格」と語る(11日、大津市瀬田)
https://amd.c.yimg.jp/amd/20180420-00000025-kyt-000-3-view.jpg