先週、日本のスポーツ界を最も揺るがせたのはサッカー日本代表・ハリルホジッチ監督解任の報だろう。
ロシアW杯の開幕は6月14日、日本代表の初戦(対コロンビア)は19日。大一番のほぼ2ヵ月前の時点で断行された監督交代劇には多くのファンが衝撃を受けた。

昨年12月に行われた東アジア選手権の韓国戦は1−4で惨敗。今年3月にW杯を想定して行われた国際親善試合ではマリと引き分け、ウクライナには1−2で敗れた。
この結果はもちろん、チームがひとつにまとまっていないような試合ぶりには誰もが不安を抱いた。だから、仕方ないという見方もある。

しかし、本番まで時間がなさ過ぎる。こんな時期に指揮官が交代して、まともに戦えるのか、という新たな不安をファンは抱えながらW杯を迎えることになったのだ。

● アトランタ五輪で大金星 Jリーグでは不振だった時期も

チーム再生を託されたのは西野朗新監督。就任時、メディアでは監督としての優れた手腕が紹介された。J1リーグでは歴代最多の270勝していること、
代表監督としてはU23日本代表を率いて臨んだ1996年アトランタ五輪の1次リーグでブラジルを破る「マイアミの奇跡」を成し遂げたことなどだ(大金星をあげたうえに1次リーグで2勝する好成績を収めたものの得失点差で敗退)。

勲章はまだまだある。クラブ監督のキャリアをスタートさせたのは1998年の柏からだが、就任2年目には、それまで無冠だったチームをJリーグ杯優勝に導いた。
2002年からはガンバ大阪の監督を10年間務め、J1リーグ年間優勝1回、天皇杯優勝2回、Jリーグ杯優勝1回とJリーグを代表する強豪に育てた。
2008年にはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制し、アジアサッカー連盟(AFC)からアジア最優秀監督に選ばれているし、Jリーグの最優秀監督賞も2回(2000年、2005年)獲得している。

執る戦術も預かるチームによって変える柔軟性がある。アトランタ五輪のU23代表では対戦相手との実力差を考え、堅く守ってカウンターを狙う戦い方で金星をあげたし、
得点能力がある選手が揃っていたガンバ大阪では攻撃サッカーを志向し成功を収めた。日本人監督としては屈指の手腕を持っているといえるだろう。

ただし、思うような成績を残せなかった時期もある。2012年には不振に陥った神戸をシーズン途中から指揮したが、チームを立て直すことができず16位。
2014年からは2年間、名古屋の監督を務めたが、9位、10位と中位で終えている。こうした結果から、調子を落としたチームを短期間で立て直した実績がないといわれていることも確かだ。

つづく

4/17(火) 6:00配信 ダイヤモンドオンライン
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