マイナー開幕戦で早速適用された新ルール

4月5日(日本時間6日)に開幕したマイナーリーグでは、試合時間の短縮を目的として2018年シーズンから新ルールが導入されている。実は、メジャーリーグにおいて、
コミッショナーであるロブ・マンフレッド氏が今季から導入を目指したが、メジャーリーグ選手会からの支持を受けられず断念した経緯がある。その代わりとしてマイナーリーグが試験的運用の場として選ばれたのである。

新たに導入されたルールは、▽延長戦のイニングは無死二塁から開始する(タイブレーク制)▽投手の投球間隔をランナーがいる場合は20秒、いない場合は15秒に制限する――というものだ。

この新ルールはマイナーリーグの2018年シーズン開幕戦で早速適用された。

マイナーリーグ2Aイースタン・リーグのボウイ・ベイソックス対ハリスバーグ・セネターズ。試合は9回を終了し、4対4の同点で新ルールによる延長戦を迎えることになった。

10回表のセネターズの攻撃は、9回最後のバッターとなったダニエル・ジョンソンを二塁走者に置いて始まった。セネターズはこの回に1点を奪ったが、
10回裏にベイソックスも同様のルールで1点を奪い返した。延長11回も両チーム1点ずつ追加、12回は両チーム無得点と延長イニングは続いた。
13回はセネターズが4点、ベイソックスが3点に終わり、10-9でセネターズがこの歴史的試合を制した。

新ルール導入前には反対意見が多くあった。「延長戦が無死二塁で始まると最初の打者は送りバントをするに決まっているから野球の楽しみが奪われる」というものだ。
しかし、先の開幕戦の延長では送りバントは1つもなかった。両チーム監督の意図は別として、スモール・ベースボールを忌み嫌う一部のファンの懸念は杞憂だった。
だが、延長13回に及んだ試合時間は4時間4分。本来の目的である時間短縮の効果があったかは評価の分かれるところだ。

経営的視点では時間短縮はファンサービス

投球間隔の時間制限については今のところ試合の流れに大きな変化はみられない。直接影響を受ける現場の投手からはリズムが狂うなど評判が悪い試みではあるが、
投球の質が落ちて打高投低の傾向が顕著になるかは少なくともシーズンが終わってからの比較調査が必要になるだろう。

選手やコーチ、監督、さらにはコアな野球ファンの多くは「いたずらに時間短縮を図るルールは野球の醍醐味(だいごみ)を失わせる」と反発する。
しかし、スポーツビジネスのライバルであるアメリカンフットボールやバスケットボール、アイスホッケー、サッカーなどの他のメジャースポーツと比較すると
プレイ時間やタイムアウトの時間と回数、そして延長戦の長さに制限がないスポーツは野球だけ。経営側は試合時間の短縮はファンサービスのためと主張する。

2018年シーズンはメジャーリーグでの新ルール導入は回避されたが、マリナーリーグでの試験運用の結果次第では、来シーズン以降に議論が再開されることは明らかだ。
コリジョン・ルールやビデオ判定など、メジャーリーグで導入されたルールの多くは日本球界にも波及する。今後の動きに注目したい。

2018年4月15日 0時0分 ベースボールチャンネル
http://news.livedoor.com/article/detail/14581183/