マリ戦後に長友と槙野が話し合い、焦点は“どんなスタイルで戦うべきか”

日本代表は23日の国際親善試合マリ戦を1-1ドローで終え、選手たちは一様に課題を口にして、6月のロシア・ワールドカップ(W杯)に向けて危機感を強めている。DF槙野智章(浦和レッズ)は、2010年南アフリカ大会と2014年ブラジル大会で見せた日本のスタイルを引き合いに出すと、ロシア大会でどのスタイルを貫徹するべきかについて「そこは一回整理する必要がある」と口にした。

 ロシアW杯グループリーグ第2戦で対戦するセネガルを仮想したマリ戦で、日本は苦戦を強いられている。前半44分、30歳の誕生日に代表デビューを飾ったDF宇賀神友弥(浦和)がPKを与えて先制点を献上。劣勢のなか、後半15分から出場のFW中島翔哉(ポルティモネンセ)が終盤に代表デビュー戦で劇的同点弾を決めて、土壇場で1-1ドローに持ち込んだ。

 チームの雰囲気について槙野は「1-1で引き分けて良かったねという感情ではない。ロッカールームの雰囲気も満足している選手は誰もいない」と証言する。試合後にDF長友佑都(ガラタサライ)と話し合ったと明かし、その内容は代表のスタイルに関するものだったという。

「2010年南アフリカW杯の時のような戦い方をするのか、自分たちが攻撃を掲げた2014年ブラジルW杯のような戦い方をするのか」

代表チームへの懸念「共通意識を持ってやらないとバラバラに…」

 岡田武史監督に率いられた2010年大会では、本選直前に“堅守速攻”へとスタイル転換。当初、前線からのプレッシングと素早い攻守の切り替えを標榜していたが、大会直前の国際親善試合を経て後方に守備ブロックを形成する戦い方へシフトした。結果的にこの判断でチーム状況は好転し、同大会ではベスト16進出を果たしている。

 イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督の下で臨んだ2014年ブラジル大会は、自分たちが積極的に主導権を握る“ポゼッションサッカー”を標榜。紆余曲折はあったものの、最終的にそのスタイルで本大会に挑んだが、1分2敗でグループリーグ敗退に終わった。

 両スタイル自体に正誤はない。槙野も「どっちがいいにせよ……」と前置きしつつ、「自分たちが今、どれぐらいのサッカーができて、対戦相手にどれぐらいのことができるのかというのを考えたうえで、臨機応変にやる必要がある」と、折衷案も含めて再確認の重要性を訴えた。

 その一方で過去2大会のスタイル、またはその折衷スタイルを採用するにしても、「みんなが共通意識を持ってやらないと、バランスや考え方がばらばらになる危険性がある」と懸念も示している。

槙野の立場は明確 「引いて守って我慢するサッカーは…」

 マリ戦後、槙野と長友の“スタイル談義”は熱を帯びたようだ。長友は2010年大会と2014年大会の両方で全試合にフル出場しており、「そういう話を2大会経験している彼から聞けたのは非常に良かった」と振り返っている。

 では、槙野自身はどう考えているのか。一個人としての立場は「常に理想ばかり求めていても結果は出ない。ただ未来の日本サッカーを考えたうえで、引いて守って我慢するサッカーは成長につながらないと思う。そこは一回整理する必要がある」というものだった。

 ロシアW杯まで残り3カ月を切っている。ハリルジャパンは果たして、どの方向へと舵を切っていくことになるのだろか。

大木 勇●文 text by Isamu Oki(Football ZONE web編集部)

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3/25(日) 18:01配信
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