フジテレビの月曜21時台の連続ドラマ枠『月9』で、1月から放送されていた芳根京子主演『海月姫』が3月19日に最終回を迎えた。視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区。以下同)は5.8%に終わり、全話平均視聴率は1987年4月から始まった同枠で最低の6.1%を記録した。
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2016年以降、『月9』で全話平均視聴率が2ケタを超えたのは2017年7〜9月期の『コード・ブルー 3rd』のみ。かつての高視聴率枠の苦戦が続いている。テレビ局関係者が話す。
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「最近の『月9』は初回の視聴率から低い。『海月姫』は8.6%、昨年10〜12月期の『民衆の敵』は9%と1ケタ。つまり、最初から視聴者に期待されていないんです。この不振を分析すると、2014年4〜6月期の『極悪がんぼ』あたりから始まっているのではないでしょうか」
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尾野真千子主演の同ドラマについて、当時フジは〈“キラキラ”ではなく“ギラギラ”、“キュンキュン”ではなく“ハラハラ”する“裏社会”エンタテインメント〉〈こんな月9見たことない!!!〉と謳っており、恋愛ドラマのイメージの強かった枠の転換を図る試金石となる一作だったことがっわかる。
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「この全話平均視聴率が『月9』初の1ケタ(9.9%)になってしまった。内容的には評価する声もありましたが、やはりテレビは数字で判断されてしまう。その後、『月9』はやはり恋愛モノじゃなければダメだという空気になってしまいました。過去の栄光が眩しい分、1回の失敗に敏感になってしまうんです」(同前)
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たしかに『月9』と言えば、『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』(ともに1991年)、『ロングバケーション』(1996年)など恋愛ドラマのイメージが強いが、1987年のドラマ枠スタート当初は決してそんなことはなかった。芸能記者が話す。
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「当時はマスコミ業界を題材にする、いわゆる“ギョーカイドラマ”ばかりでした。1作目は岸本加世子の『アナウンサーぷっつん物語』でしたし、その後も田原俊彦と野村宏伸の『ラジオびんびん物語』やとんねるずの『ギョーカイ君が行く!』などが続きました。本格的な恋愛路線は1988年1〜3月期の『君の瞳をタイホする!』(陣内孝則、浅野ゆう子など)が起源になります。ただし、この後恋愛ドラマが続くわけではありませんでした」

1988、89年は「榎本!」「せんぱ〜い!」という田原と野村のコンビが話題を呼んだ『教師びんびん物語』が大ヒット。最終回で『月9』初の視聴率30%越えを果たした『教師びんびん物語II』の次に始まった1989年7〜9月期の恋愛ドラマ『同・級・生』(安田成美、緒形直人)は全話平均視聴率14.5%と伸びず、まだ『月9=恋愛モノ』というイメージは確立されていなかった。前出のテレビ局関係者が指摘する。
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「テレビに限らない話かもしれませんが、スタッフが『〜らしさ』『〜らしくない』と言い出し始めると、番組は良くない方向に行きがちです。実際、『極悪がんぼ』のあとは『月9らしい恋愛モノ』が多くなっていますが、数字はさらに悪くなっている。『月9らしさ』にこだわっている間は、視聴率を回復させるのは難しいのではないでしょうか。スタッフはどうしても目先の視聴率を欲しくなる。上層部が『長い目で見るから好きにやれ』と言ってくれると心強いと思います」
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始まりは決して恋愛ドラマではなかった『月9』。“らしさ”の呪縛からの解放が復活への第一歩かもしれない。

3/23(金) 8:48
NEWS ポストセブン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180323-00000006-pseven-ent&;p=1