安倍首相が検討している放送事業の見直し方針が16日、明らかになった。

インターネットなどの通信業務とテレビ・ラジオ局などの放送業務の垣根をなくし、
インターネット事業者が番組制作に参入しやすくする狙いがある。

規制緩和で双方の垣根がなくなることで、放送の質・信頼性や放送局の社会的役割の低下につながるおそれがあり、今後、議論を呼びそうだ。

政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)がまとめる答申に反映される可能性がある。
検討中の主な内容は〈1〉放送の政治的公平性などを求める規制の撤廃〈2〉番組などのソフト事業と、
放送設備などのハード事業の分離の徹底〈3〉NHKによる放送とインターネットの「同時配信」の本格化――が柱。

方針では、「目指すべきゴール」として、「多様なコンテンツ(情報内容)制作事業者が競いながら、
良質で魅力的な番組を消費者に提供できる環境の創造」を掲げた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180316-OYT1T50162.html


安倍首相が目指す放送事業の見直しは、放送法4条などの規制の撤廃が目玉となる。
背景には、首相に対する批判的な報道への不満があるようだ。

今回の規制緩和は、AbemaTVに代表されるような「放送法の規制がかからないネットテレビ」(首相)などの放送事業への参入を狙ったものだ。

首相は衆院選直前の昨年10月、AbemaTVで1時間にわたり自説を述べた経緯もある。
政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色をむき出しにした番組が放送されかねない。

ネット事業者などに放送事業の門戸を開放すれば、地上波キー局をはじめとする放送事業者の地盤沈下につながる。
首相の動きに、放送業界は「民放解体を狙うだけでなく、首相を応援してくれる番組を期待しているのでは。政権のおごりだ」と警戒を強めている。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180317-OYT1T50010.html