CHEMISTRY 最期の川 大杉漣 勝久 こくじん こくの味噌 有料 たわけ 正義 タクシー
280 俺より強い名無しに会いにいく sage 2018/02/11(日) 20:17:35.28 0
「んっ!力丸!」

 男は日課を済ませると、自宅のビルの屋上に上がり、浅草の町を見下ろした。
眼前に広がるのは、いつまでも晴れない空と瓦礫の山、一面が灰色の世界だった。
あの日、たった一つのスイッチが世界を終わらせてしまったのだ。

 けれども、男は決して堕ちなかった。心は太いままだった。
生き残った浅草の人々と、恋人を守ること。それが彼の使命だった。
男は町を眺めながら、改めてその決意を胸に抱いたとき、遠方から猛烈な勢いで町に近づく武装タクシーに気が付いた。

 アイイイイイイイというサイレンが、町中に響き渡る。
男は「力丸! 絶対に門の外に出るなよ!」と告げると、急いでビルの階段を駆け下りていった。

「んっ!スピード違反!」

 武装タクシーが町に侵入する寸前のところで、男は肛門を向けながらタクシーの前に飛び出した。
急停止するタクシー。そして沈黙。町は一瞬にして緊張感に満たされ、両者の睨み合いが続く。
だがしばらくすると、タクシーのエンジンが止まり、中から一人の男が現れた。

「お前! 生きていたのか!」

 それは、かつての友であった。 >>534>>1>>20>>67>>258>>331