>>192
キリコ、何をした。伝達装置が…。私にはとても信じられない。バカな事はやめろ、キリコ。私の力が欲しくないのか。
私が怖くないのか。私に逆らうなど考えられん。
キリコ! 何故だ!バカな事をした、キリコ。やめるんだ、キリコ!私に従わなければお前を殺す!
お前はまだ分かっていない、私の本当の力を!やめろ、キリコ!やめるんだ!キリコ!
かつてお前が戦場で生死をさまよった時、私はいくつかの操作をお前に施した。意識の底に。
例えばフィアナもその一つだ。彼女との出会いは私によって運命付けられていた。
では、何故フィアナの名を知っていたのだ。
希望のなかったお前に、初めて生きる意味が生まれ、愛と共に力と支配に対する認識が芽生えた。
私はお前をまず、当たり前の人間にしてやったのだ。 いや、思った以上にお前は変わった。
愛よりも支配に対する欲求が強まり、今はこの私をさえ殺そうとしている。
考えられぬ事ではない、お前はフィアナを撃ったのだから!
お前は全てを思い出せ。犯した罪の呵責に苦しみ悶えるのだ、永遠に。キリコ!罪に耐える事はない、
むしろ誇るべきなのだ。私のあとを継いで、戦争を司れ! 罪を超越できるのは完全な支配だ。
キリコよ!例え殺しても神は罪を犯した事にはならない、神だけは! やめろキリコ、やめるんだ!
これは私にとっての夢だった、
わずか三千年前に始まったささやかな支配も、遥かな時の彼方にいつしか人知を超えた人生を、
絶対と永遠を獲得できるのではないか。だが、悲しい事にそこへ到達するのは私ではない、
不完全な継承はついに神を生み出す事はなくなる。そして、次の世代を見る事もなく、私の記憶も既に消…。
やめろキリコ、お前は何をしているのか分かっていないのだ。何と愚かな事を…。
この力を消滅したら二度と復元不可能なのだ。この世の仕組み、知性の結晶…。
やめろ、キリコ。やめろ、キリコ。やめろ、キリコ…。 …怖い、私は怖い…怖い…。