■「使えるときに使う」メディア、しっかりとフォロー出来る“受け手”の存在が重要

 もちろん、限られた現役活動期間の中でタレント性が開花し、引退後の選択肢のひとつになるケースについては、活躍の場を広げたテレビの功績であり、選手側・局側双方の“ウインウイン”関係を構築したとも言える。しかし、日本中の五輪での功績を称えるお祝いモードから一転して、「調子に乗っている」などのマイナスイメージがついてしまう原因は、「使えるときに使う」メディアが「視聴者にどう見られるか」まで考えず、最後まで責任を取らない点が大きいだろう。

 一方で、その責任を果たそうと努める存在も忘れてはいけない。『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)の浜田雅功や、『Going! Sports&News』(日本テレビ系)の上田晋也など、盛り上げるべきときは盛り上げつつ、持ち上げるだけではなく“突っ込む”こともでき、場の空気を読ながら“テレビ映り”や“視聴者にどう見られているか”を的確に判断するプロのタレントたちだ。テレビ慣れしていない選手たちに気も遣い、専門外のことからは“かばう”配慮も見せる。実際、SNS上では視聴者から「よくぞ聞いてくれた」、「選手への配慮が素晴らしい」といった評価もあるように、そうした姿勢にはMCとしての責任感や選手へのリスペクトも感じられる。

 奇しくも先日報道された伊調馨選手の“パワハラ告発問題”に対し、浜田の相棒であるダウンタウン・松本人志は3月4日放送『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、「みんなメダルとってカッコよかったし、美しかったし、すばらしいんですけど、あの後の日本国中のお祭り騒ぎが大嫌いなんですよね」、「早く解決して伊調さんが集中できる環境を作ってほしいということぐらいしか言えない」と苦言を呈している。このように、明言する・しないに関わらず、“待った”をかけられる存在は必要不可欠だ。

 五輪で活躍した選手たちは、競技振興の“使命感”から最大限にサービス精神を発揮するはず。だからこそ、我々メディア側も自戒の念を込めて、純粋無垢な選手たちを“消費”せぬように配慮し、最後まで“責任”を持たなければならない。そして、メディア・視聴者関係なく、選手たちの“本業”をしっかりと応援する姿勢こそが本懐なのだ。