星野源さんが、「映画ドラえもん のび太の宝島」(3月3日公開)の主題歌を担当する。タイトルはズバリ「ドラえもん」。新旧のドラえもんファンをつなぐような今回の楽曲について、そして星野さんの「ドラえもん愛」について、聞いてみた。

──大の「ドラえもん」好きとして知られる星野さんですが、昔からお好きだったんですか?

 物心ついたらもう知ってるっていうような、そんな存在ですね。なので、すごく詳しいというわけではないのですが、小さい頃から漫画本を読んだり、劇場版をテレビやレンタルビデオで見たりしてきました。

──ちなみにすごく好きなキャラクターと言うと?

「のび太の海底鬼岩城」に水中バギーっていうキャラクターが出てくるんですけど、それがすごく印象に残ってます。

──どんなキャラクターでしたっけ?

 AIが搭載されていて、人と会話できるんですけど、全然言うことを聞かないっていう(笑)。でもしずかちゃんにだけなついてるところがとても人間臭くて、ものすごく切ない最期を遂げてしまうのが子供心にショックでした。大好きなキャラクターです。

──やっぱりよくご存じで(笑)。星野さんのドラえもん愛を感じます。

 今回、曲を書かせてもらうにあたって、あらためて漫画の大長編を全部買って、DVDも全部買って、読み直したり見直したりしたんですけど、やっぱり面白いですね。あ、こんな内容だったんだって思い出すことも多くて。「海底鬼岩城」にはプランクトンで作るごはんが出てくるんですけど、異常にうまそうでした(笑)。

──「ドラえもん」が長く、多くの人に愛されてきた理由を、星野さんはどう考えますか?

 どれだけSF的な要素が出てきても、突飛なことが起きても、自分たちが暮らしている日本の日常に、常に軸足が置かれている気がするんです。だから身近に感じることができて。特に劇場版のような冒険ものだと、他の映画ではすごく強いヒーローが出てきて、地球を救う物語も多いと思うんですね。でも「ドラえもん」では、活躍するのび太が普通の少年だったり、ドラえもんも未来の世界では落ちこぼれだったりするので、スッと感情移入しやすくて、何て言うのか、誰も仲間はずれがいないっていう。それは藤子・F・不二雄先生(以下、藤子先生)の優しさですよね。仲間はずれがいなくて、どんなキャラクターに対しても優しいところが、みんなに愛されている理由なんじゃないかなと思います。

──そうやって「ドラえもん」に親しんできた星野さんにとって、今回「映画ドラえもん のび太の宝島」の主題歌と挿入歌を担当するということには、どんな意味がありましたか?

 すごくうれしかったのと同時に、まず「ドラえもん」というタイトルで「大長編ドラえもん」そのものを歌いたいなと思ったので、かなりワクワクしましたね。「何者でもなくても 世界を救おう」という歌詞が書けた時に、それができたような気がしました。ヒーローじゃなくても、めちゃくちゃ強くなくても、普通の人たちだって、未来を作れるんだっていう。ひみつ道具もすべて人間の叡智(えいち)の力ですしね。普通の人間たちの物語なんです。そういう勇気を「ドラえもん」からもらってきました。

──実際、何者でもなかった星野少年が、こうやって「ドラえもん」に楽曲を提供するまでになったわけですしね。

 そうなんです。小さい頃から「ドラえもん」を見てきた、何者でもなかった自分が、未来に「ドラえもん」の曲を作るオファーをいただけたっていうことも、この歌詞とつながるというか。2017年はいろいろ忙しくて、わりと消極的な気持ちになってたんですけど、自分を変えよう、能動的にやっていこうと思ってから「ドラえもん」ができて、すごくいい気分で17年を終われたんですよ。だから自分で未来を変えられるんだっていうその時の気持ちも、ここに表れていて。

──間奏では、かつてテレビアニメ「ドラえもん」のテーマ曲だった「ぼくドラえもん」のメロディーが引用されています。

 発想としてはただの音楽的な理由で、あのメロディーが間奏で全く違うアレンジで急に来たらヤバいっていう、そこからなんですよね。普通は許してもらえないと思うんです、こんなこと(笑)。でも作曲した菊池俊輔先生に聴いていただいたら、喜んでくださったそうで、使用許可もいただけたんです。本当によかったです。

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2018.3.6 16:00週刊朝日
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