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■ 第二の人生で見据える未来「一日一日、人間として成長していきたい」

 ただ、サッカーを愛し、うまくなりたい――という思いで取り組んできた結果が、自身のキャリアの成功の一つの要因になっているようだ。

 そして、引退後に日本中を旅した理由について「基本的に、私の人生はサッカー一色でした。もちろん勉強もしたけど、日本については何も。
32、33歳で日本に帰ってきた時、世界中を旅してきたからこそ日本に好奇心を抱いたんです」と話し、日本を理解するために車1台で47都道府県を回って旅したという。

 気になるのは今後、どんな人生を歩むのかだ。「どうなるかは自分でもわからないけど、私は毎日、一日一日、人間として成長していきたいと思っている。毎日できることを100%でやる。
今は、翌日にエネルギーを貯めておく必要なんてありませんから」と話し、「自分の存在を伝承させたいか」と問われると、こう答えている。

「みんな、私のことをいつまでも覚えておく必要はない。私を雲のような存在になりたい。自然と同じような存在に。雲は流れていくだけだけど、その存在はなんとなく人々を幸せにしている。
あえてここでは風になりたいと言っておきましょうか。それは見ることのできない存在でしょうから。でも、本当に時々、人々を幸せにすることもある」

 独特の言い回しで、雲や風のように人々を幸せにできる存在になりたいと語った中田氏。
サッカー選手としてグラウンド上のプレーのみならず、生き方でも強烈な個性を発揮してきたカリスマは今なお、自らの信念を貫き、第二の人生を歩んでいる。