逆に高いレベルの要求をするお客様に対して納得いただけるサービスができるかに
プロとしてのモチベーションを感じるけどね。
ある日床が雨の日に滑るとスタッフにクレームが入った。でも原因はその客の傘の雫だったんだよね。
そこでウチの若い女スタッフが「入り口にある傘袋をご用意してください」って注意した。
その素っ気ない態度に腹を立てた客が「責任者を呼んでこい」と要求してきた。
経緯を知ったおれはすぐ様、駆けつけて「失礼します」とまずは濡れた床を自分の前掛けで拭いて
店内で客の転倒の危険性がなくなるように配慮した。
更にもう一度雑巾で丁寧に拭くようにと他のスタッフに指示。
そしてお客様には何度も頭を下げて「私の指導不足でございます。大変申し訳ございません」と平身低頭に謝罪した。
おれの誠意のある対応に客は怒りを納めてくれ事なきを終えた。

もちろん対応したスタッフにその後は厳重注意をした。まずは「濡れた床を先に拭け!」と。
彼女が弁明するには「先に濡れた傘を袋に入れてもらい、その間に床掃除をするつもりだった」ということだが
「そんなのは関係ない。まずはお客様の安全第一だから濡れた床を拭き取るべきだ」と一喝。
泣き出して「でも袋を使わないお客さんが悪いじゃないですか」と言い出したが
「袋を使いたくないお客様だっている。あれは強制ではない」とおれは指摘して
「お客様を批判するのではなくお客様の立場になって考えなさい」と優しく伝えた。
「お客様を第一に考えていれば自然と行動できるようになる。まずは安全性を配慮して床を拭いて
その後に謝罪をすれば、全てのお客様に気持ちよく店をご利用していただけるだろう?」
納得した彼女は今ではエース格となって活躍してくれている。
何よりもお客様を第一に考えられる店員に育ってくれて感慨深く嬉しい。