覚醒剤取締法違反(使用)の罪に問われた俳優・浅野忠信(44)の父で、浅野の所属事務所「アノレ」の元社長、佐藤幸久被告(68)の初公判(大西恵美裁判官)が1日、東京地裁で開かれた。同被告は「夫婦間や仕事でのストレスがあった。魔が差した」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑し、即日結審した。判決は14日。

 黒のスーツにグリーンのネクタイ姿で法廷に姿を見せた佐藤被告は、神妙な表情で一礼した。起訴内容について改めて裁判官から問われると、「間違いございません」と認めた。

 起訴状によると、昨年11月中旬ごろから30日までの間に都内かその周辺で覚醒剤を使用したとされる。同被告は昨年11月30日午前2時頃、東京・渋谷区道玄坂の路上で警察官から職務質問された際、ガラスパイプを所持していたため、渋谷署に任意同行。尿検査で陽性反応が出たため逮捕された。

 この日、検察側は同被告が2000年に大麻取締法違反、08年に覚醒剤取締法違反で逮捕され、それぞれ執行猶予判決を受けていると指摘。今回の逮捕の際も、警察官を見て足早に立ち去ろうとしたという。覚醒剤を使用したのは同区内のラブホテルで、パイプであぶって煙を吸引し、女性と性交渉したという。

 入手経路について、同被告は前回(08年)の逮捕の際、愛車のポルシェのドリンクホルダーに隠しておいた覚醒剤が警察に押収されず、自身も存在を忘れていたが、昨年3月に急に思い出したと供述。使用は「魔が差したとしか言いようがない」と肩を落とした。

 原因とされるストレスの詳細も「資金繰りや現場に出ず(代表取締役としての)責任があった」と告白。夫婦間がうまくいっていなかったことも明かし「去年のうちに早々と(離婚届に)サインした」と明かした。

 この日、浅野の名前は出ず、情状証人には浅野の兄が出廷。今後の対策として「週に1回、家族の誰かが会い、週に3回電話をかける」と父を監督していくことを誓った。同被告も「長男、次男(浅野)、姉だったり家族に協力してもらう」とした。既に昨年12月の保釈以降、都内の薬物依存症専門のクリニックにも5回通院。埼玉・秩父の34か所の観音霊場を回り、心身ともに立ち直ろうと努力しているという。

 弁護側は3度目となる執行猶予付きの判決を求めたが、検察側は「依存性が顕著であり(入手方法の)供述が不合理で真実を述べているとは思いにくく、反省しているとは思いづらい」とし、懲役2年を求刑していた。判決は14日に言い渡される。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20180301-OHT1T50228.html