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 テレビ朝日失速――。2017年の年間視聴率は日本テレビが4年連続の三冠王であることは報じられているが、かつてその日テレとトップ争いを演じたテレ朝が徐々に失速。いまやTBSに追い抜かれようとしている。

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 年間視聴率3冠といえば、その昔はフジテレビだった。そもそも全日帯(6時〜24時)、ゴールデン帯(19時〜22時)、プライム帯(19時〜23時)という3つの枠でトップを取って“3冠王”と言い出したのが絶好調だった頃のフジ。業界紙記者が懐かしむ。

「『楽しくなければテレビじゃない』を合い言葉にバラエティ番組に力を入れ、1982年〜93年までの12年間、NHKを除いた在京キー局のトップに君臨。以後、94年〜2003年までが日テレ、04年〜10年までがフジ、そして11年が日テレという具合に、フジと日テレの2強で視聴率トップを争ってきた歴史がありました。その後を追っていたのがTBSであり、『万年4位』『振り向けばテレ東』と呼ばれていたのがテレ朝でした」

 だが、2強時代に楔を打ったのはテレ朝だった。

「12年の年間視聴率に3冠王は現れなかった。日テレが全日、ゴールデンでは1位でしたが、プライムではテレ朝が開局以来初の1位(12.5%)を獲ったんです。テレ朝は当時、ドラマ『相棒』はシリーズ10(平均視聴率16.6%:12年3月まで)とシリーズ11(平均視聴率17.3%:12年10月〜)が好調で、『ドクターX』はこの年にスタート。そして夜10時からの『報道ステーション』、その後の『アメトーーク!』や『マツコ&有吉の怒り新党』など深夜バラエティも好調だったためと分析されました。サッカー中継にも力を入れていましたし、テレ朝が名付けた“プライム2”帯(23時〜25時)では8年連続で1位だったように深夜バラエティにも工夫がありました」

 翌13年にはテレ朝がプライム(12.3%)に加え、ゴールデン(12.1%)でも首位となり2冠を達成。王者・日テレを引きずり降ろすのは目前とみられたのだが――。


ゴールデン3位に転落

「結局、14年は日テレが3冠に返り咲き、テレ朝は3つの枠で2位に。それが続くかと思えば昨年は、ゴールデン2位をTBS(9.9%)に譲り3位にまで落ちたんです。それもTBSが上がったわけじゃない。テレ朝が勝手に落ちていったんです」

 テレ朝のゴールデンタイムといえば、昨年は平均で20.9%を叩き出した「ドクターX・外科医・大門未知子」第5シリーズはじめ「相棒」Season16、「科捜研の女」Season17と人気シリーズが目白押しのはずだ。なのに、なぜ落ちるのか。次世代メディア研究所の鈴木祐司氏が解説する。

「テレ朝は12年の1冠、13年の2冠と獲得できたのは禁断の“カンフル剤”を打ちつづけたからですよ。バラエティで2時間スペシャル、3時間スペシャルといった編成表を度外視した番組を作りすぎた。2時間、3時間という特番はラテ欄でも目立ちますから、見てみようかと視聴者も思うわけです。ただ、それもやりすぎると飽きられてしまう。その間、本来編成されていた番組は育たない。そして深夜番組からゴールデンに昇格した『アメトーーク』のように、それに続く番組も生まれなくなっている影響もあると思います」

 他局プロデューサーも同調する。

「数字の良かったバラエティだって、しょせんテレ朝系は他局のパクリが少なくない。『陸海空 世界征服するなんて』は日テレさんの『電波少年』、『世界の村で発見! こんなところに日本人』はテレ東さんの『世界ナゼそこに? 日本人〜知られざる波瀾万丈伝〜』でしょう。一工夫あるならともかく、パクったまんまですからね。スタッフは育ちませんよ。今年に入ってまだ6週ですけど、テレ朝は全日、ゴールデン、プライムともオール2位に戻っています。ただし、TBSとの差はいずれも1ポイント以内と迫ってきています。バラエティが上手くいっておらず、得意のドラマでも歯止めが効かなくなくなってきたのかもしれません」

(略)