ニュースソース
http://www.huffingtonpost.jp/2018/02/16/seisaku_a_23363933/


年収「150万以上〜300万円未満」が全体の70%。「クソブラック」と悲痛な声も…。

若手アニメーターの活動を支援するNPO法人「若年層のアニメ制作者を応援する会(AEYAC)」は2月17日、アニメ作りにおける「制作進行」担当者の労働実態に関する報告書を発表した。

「制作進行」は、アニメーション作品の制作管理を行う職務だ。

「制作進行」は多くの場合、制作に必要な素材が予定通り生産されているか、生産に必要な制作者が確保できているかなどを話数ごとにモニタリング。個々の制作会社や制作者と交渉しながら、作品制作のスケジュールを管理する。

調査は2017年8月、インターネットを通じたアンケート形式で実施。年収、労働時間、残業時間などについて、制作進行の担当者40人から回答を得た。

調査の結果、「制作進行」の年収は「150万円以上〜300万円未満」が全体の70%にのぼった。
国税庁の調査(20〜24歳の平均給与が253万円、25〜29歳では352万円)と比較すると、同年代の平均年収より低い賃金水準だった。
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1日あたり平均労働時間は12.4時間。月間の残業時間は「80時間以上〜160時間未満」の回答が半数を占めており、制作進行の労働時間が非常に長時間に及んでいることがわかった。
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業務の負担と関連して、今回の調査では、アニメーターとの関係性が、制作進行の働き方に大きな影響を与えていることが示唆された。

自由記述欄では「アニメーター、演出、監督がものをあげない」「連絡がとれない」など、自由回答ではアニメーターへのネガティブな回答が多数みられた。生々しい証言の一部を、以下で紹介する。

「アニメーターがスケジュールを守らない。作品の制作におけるスケジュールが無い」

「上り(作業が終了した素材)が出るとアニメーターに言われ深夜まで待って回収に行くと上りがなく、連絡もつながらず回収できないとき。出す出す詐欺される」

「傍若無人な演出やワガママを言う演出と揉めた時、自分の手に負えない仕事を振られた時(にストレスを感じる)」

「不規則な生活と理不尽な要求、長時間労働と低収入といった心労が尽きない業界故に人一倍のストレス耐性と体力、職業観等を要求される職種だと考えています」

「クソブラック」

「制作期間が短くなっているので、1話数に1人では回しきれない。忙しい時期だけでも2人体制にしないときつい。他人に仕事を引き継ぎやすいようにデータ整理するノウハウも必要」

「デスクやプロデューサー達の様子から、今後もし続けて役職が上がったとしても、どこかで著しく健康を害すのではないかという懸念がある」

「業界の基盤がガタガタ。制作会社、進行が頑張って、クリエイターが我慢しているからいまの状態で作品が作れているけど、本来ものをつくる状態の業界ではない」

「制作本数は増えるくせに人はいない。予算は増えないくせにクオリティは上げろとかいう。
制作本数が多いせいでアニメーターが不足しており、クソみたいな原画マンにも頭を下げてお願いすることになる。でも取ってもらえない」

AEYACによると、「アニメーションの制作進行に特化した調査としては初」だという。
同団体の秋吉亮理事長はハフポストの取材に対し、「今回の調査結果がこれから制作進行を目指す学生や既に制作進行として働かれている方にとってキャリア形成を考えるための一助となれば幸いです」としている。