小平の銀、清水宏保さん「実力差、惜しい差ではない」
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 いやあ、本当に残念。小平奈緒は金メダルを取れると思っていたし、取らせてあげたかった。
ただ、この差は惜しい差ではない。

 小平にとって、目指すタイムの一つのメドは、五輪レコードの1分13秒83だったはず。
それが、1分13秒56を先にテルモルスに出された。想定以上のタイムを出されたことで、
小平も意識してしまったのだろう。動揺が隠しきれなかった。

 レース前の表情はいつもの客観的な感じではなかった。気持ちが高ぶりすぎていた。なんとか、
体をリラックスさせよう。その意識が強すぎた。心拍数は普段より上がったはずだ。

 レース展開は、200〜600メートルで足を使いすぎたため、最後の1周に疲れが出てしまった。

 小平にとって不運だったのは、アウトスタートだったこと。最初に直線が長くてスピードに乗れ、
疲れが出る最後のコーナーで相手の力を借りながら小さいカーブを曲がれるインスタートのほうが、
1000メートルは有利になる。テルモルスはインスタートだった。これが逆だったら、タイム差は縮まっただろう。

 ただ、逆転できたとまではいえない。今日の順位は実力差といえる。

 気持ちがコントロールできなかったこと、思い描くスケーティングができなかったこと――。
反省材料はわかったはずだ。500メートルは、この悔しさが最高のカンフル剤になる。(長野五輪金メダリスト)