・進歩する公安の監視能力
 
しかし、日本の公安当局も手をこまねいているわけでは無く、拉致問題が大きく取り上げられるように
なって以降、北の工作員や朝鮮総連とその関係者への監視の目を大幅に強化している。

試しに、公安調査庁が発表した「内外情勢の回顧と展望」(平29年、最新)では、”金正恩党
委員長への忠誠強化と組織の活性化に取り組む朝鮮総聯”と題して、



など朝鮮総連内部の詳しい動きに逐一目を光らせている。とすると、「ソウル、東京、特に大阪が
ヤバイ」と三浦氏が断定したスリーパーセルなる特殊工作員の存在も、国際政治学者たる三浦
氏が公の場で堂々と発言する位の水準で知っているのだから当然、公安の報告書の中にさらなる
詳細記事があると思うのが妥当だが、公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊
工作員や活動家の記述は一切存在していない。

三浦氏の番組放送後のブログ記事によると、この「スリーパーセル」なる北の特殊工作員は、
主に英国のタブロイド紙の報道を根拠としているとしているが、くだんの元記事では「大阪」という地名
は一切登場しない。

そもそも、英国のタブロイド紙が世界に向けて発信しているほど、「スリーパーセル」なる存在が既知で
あるなら、目下我が公安警察がただの一行も言及しないのは不自然の極みである。

この「スリーパーセル」なる北の特殊工作員が韓国や日本に潜んでいると断定する三浦氏の発言は、
根拠の無い「工作員妄想」の一種と言わざるを得ないのでは無いか。

現下、我が公安当局によって厳しく監視対象にされている朝鮮総連やその活動家が、公安のあず
かり知らぬところで別途、三浦氏にだけその存在が知られている「スリーパーセル」を見逃しているとした
ら大問題であるし、また同時に我が公安警察の調査能力をあまりにも軽視している自虐的発想である。