ここ最近、バラエティ番組では裏方であるはずのディレクターなどが出演し、体を張る芸人以上のインパクトを残す場面が散見される。
本来は制作側のいちスタッフなわけだが、素人がゆえの素朴さや、プロっぽくない振る舞いが逆に受けているのかもしれない。
今やテレビ業界では定番となっている“裏方の表(番組)進出”は、今後もその傾向は加速する可能性が高い。だが、果たしてそれは“アリ”なのだろうか?

■今、最も露出の高い裏方と言えば、破天荒の”ナスD”

人気を博した裏方の代表格と言えば、“ナスD”ことテレビ朝日の友寄隆英ディレクターが筆頭にあげられるだろう。そもそもナスDは、同局の冒険バラエティ番組『陸海空 
こんな時間に地球征服するなんて』の「部族アース」という企画で、お笑いコンビ・U字工事のアマゾンロケなどに同行する担当ディレクターだった。
「美容にいい」と言われ、刺青にも使用される染料“ウィト”を塗ったはいいが、全身がナスのような墨色に染まってしまい、そのまま色が落ちなくなったことから注目を集めた。

ナスDの“破天荒ぶり”はそれだけにとどまらない。アルコール度数50度のお酒を大量に飲んだり、生の川魚、巨大カタツムリ、イタチの丸焼きなど、普通なら躊躇してしまうものを「うまいうまい」と食し、ときには「すっごい臭い」と笑う。
その姿は、現地のガイドにまで「先住民や馬でも食べない」と引かれるほど。芸人以上に型破りな行動を見せるナスDは、規制だらけのテレビの網目をかいくぐり、一矢を報いた感もあり、視聴者に衝撃を与えると同時に瞬く間に人気に火が点いたのである。

■番組ディレクターより残せなかった爪痕、敗北宣言の芸人たち

 そうなると窮地に立たされるのが、ナスDに食われた形になった本職の芸人たちだ。本来はコーナーの主役であるはずのU字工事も、過去のインタビューで「僕らができないことを自分でやっちゃう。
何かあったらヤバいっていうことは全部自分で受け持ってやっちゃうから、その根性はスゴいなと」、「向こうのほうがスゴイことやっているから、そっちが目立つのは正直仕方ないなって」と、素直に敗北宣言をした。

 また、昨年12月29日に放送された『いきなり!黄金伝説。』のスペシャル番組、『よゐこの無人島0円生活2017 元祖無人島芸人・よゐこVS破天荒ディレクター・ナスD』では、構成的には完全にナスDのほうが“格上”扱い。
いきなり漂流物のペットボトル内の謎の飲み物(あきらかに腐っている)を飲み干し、視聴者をドン引きさせた後、拠点を建てる、素手で魚を捕まえるなど、持ち前のサバイバル力を発揮し、圧勝した。
よゐこ・濱口も、ナスD出演のVTRを見ながら「ケガをするとほかの番組に迷惑をかけるし、危険な行動は避けてしまう」と、自在に動き回るナスDの姿に嫉妬。「俺もコケよ、コケなあかんわ」などと反省する始末だった。

 ただ、視聴者に「芸人が体を張るのは当たり前」という先入観がある中、芸人ではない素人のスタッフが過激なことをやれば、必要以上に凄く見えるのも仕方がない。そういう意味では、プロの芸人たちにも気の毒な側面もありそうだ。

つづく

1/27(土) 8:40配信 オリコンスタイル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180124-00000359-oric-ent