ただ久米は、そのことをむしろ番組の長所にしようとした。そこで彼が心がけたのは、
「中学生でもわかるニュース」「テレビ的なニュース」そして「楽しめるニュース」という
ことだった(久米宏『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』世界文化社)。

 つまり、ニュースは、テレビならではの視覚的な強みを生かし、わかりやすく、
なおかつ楽しめるものでなければならない。
この「わかりやすさ」と「楽しさ」を軸にするというポリシーの根底には、
『ズームイン!!朝!』の場合と同じく「ニュースを伝える側」ではなく「ニュースを見る側」に
立つという「視聴者目線」があった(同書)。

 特にニュースは楽しいもの、エンターテインメントであるべきという久米の考えは、
ジャニーズのニュース番組への進出を理解するうえで一つのポイントになるだろう。
 舞台であれば観客、テレビであれば視聴者を楽しませることを常に第一に考えるのは、
ジャニーズが始まって以来の一貫した哲学である。
もちろんそれがニュース番組にも当てはまるとはさすがに思っていなかったかもしれない。
だがテレビのほうが、『ニュースステーション』の登場などによって、「ニュース=エンター
テインメント」という方向へと歩み寄ってきたのである。