吉田光雄(本名)がプロレス界に入ってしばらくしたときのこと。新日本プロレス恒例の、若手が経験する海外修行から帰ってくると、すでに「長州力」というリングネームが用意されていたのだという。
大阪のとある会場でリングに上げられ、「吉田光雄選手のリングネームが『長州力』に決定しましたーっ!」と、いきなり発表されたのだった。

そのときのことを長州は、「あぁ、俺、もう終わったな……、と思いましたよ(苦笑)」と回想する。

「当時いきなり“長州力”って聞いてカッコいいとは思わないだろう(笑)。ましてや、これから先の長い人生、それで自分自身が世に出て行かないといけないとなったら、気まずいったらないですよ。
これから闘うぞってときに気合い入れてリングに上がって、『ちょ〜〜しゅ〜〜、りーきー!』って自分が呼ばれるんだぞ。力なんか出ないですよ」

山口県出身だから「長州」。これに対し長州は、「もし東京出身だったら『江戸力』、名古屋出身だったら『尾張力』ってつけられてたかもしれないと思うとゾッとする」と語っている。