クリスマスの深夜1時
神奈川県横浜市郊外ののどかな田園地帯を
白いワンボックスカーが疾走していた。



ハンドルを握るのは、いささかくたびれた感じの中年男性。
小道に逸れると、なぜかヘッドライトを消し
寝静まる住宅街をそろそろと抜けていく。
行きついた先は、竹林だった。



その先にあるのは、今は使われていない竹炭小屋と畑だけ。
街灯すらない、行き止まりだ。



中年男性は、勝手知ったるようすの慣れたハンドル捌きで
そこに停車するやいなや、エンジンを切った。
ところがそこで車外へ出ることなく、助手席の間をすり抜けると
後部座席へ席を移動した。



こんな夜更けに、こんなところで一体何を……。



実は、広い後部座席には、美しい女性が一人身を潜めていた。
男が近づくのを待っていたのは、
フジテレビアナウンサーの秋元優里(34)だ。



ワンボックスカーはそのまま30分以上停車。
月もなく静まり返る闇夜に聞こえるのは
風に揺れてさらさらと擦れあう葉の音と、車のサスペンションが軋む音……。



真っ暗闇の竹林に、白い車のシルエットだけが場違いのように
薄気味悪く浮かんでいた――。