「たしかに最近は何でもかんでもクレームを入れるという視聴者も中にはいて、その行為がバラエティ番組をつまらなくさせている大きな原因の1つになっていると思います。しかし、この問題に関しては過剰なクレームという一言では片付けられません」
6日にはベッキー自身が、「タレントとして本当にありがたかったなと思います」と発言したことで、いったん事態は収束したかに見えるが、当事者が納得していればよい、という問題でもない。わずか2年ほど前、『世界の果てまでイッテQ!』『天才!志村どうぶつ園』(ともに日テレ系)、『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系、※番組名は当時)など地上波に7本ものレギュラーを持ち、超売れっ子タレントだったベッキーは不倫騒動によって、一気にその地位を失った。
「ベッキーは世間から大バッシングを受け、レギュラー番組を全て失いました。最近では多少、メディア露出が増え始めたとはいえ、タレントとしては非常に厳しい状況と言えるでしょう。そんな“強者”から“弱者”になったベッキーを蹴り上げたら、いじめの構図に見えてしまうんです。
笑いは、弱者が強者をいじるところから生まれるのではないでしょうか。たとえば、コント55号は萩本欽一が7歳も年上の坂上二郎を舞台上で追い込んでいった。ボケの二郎さんが突っ込みの欽ちゃんより年上だったから、観客は腹を抱えて笑えた。ビートたけしは欽ちゃんが『視聴率100%男』と言われて権威だった時代に、アットホームな笑いを徹底的に批判しました」(同前)
結果的にたけしは、当時お笑い界の頂点にあった欽ちゃんからその座を奪い、現在もお笑い界のトップに立ち続けている。
「下のものが上のものに盾突くから面白いのであって、現在お笑い界の頂上にいると目されているダウンタウンの番組で、人気のなくなったベッキーが蹴り上げられる構図は、世間から見ればいじめに見えてしまいかねない。とても笑っていられる状況ではないと思います。
逆に言えば、現在ビッグ3やダウンタウンに歯向かっていくお笑いタレントはほぼ皆無で、むしろ服従しているようにすら映っている。新たなバラエティ番組のヒットが生まれづらい、いつまでもお笑い界に世代交代が起こらないのは、そこに原因があるのではないでしょうか。オリエンタルラジオの中田敦が昨年、松本人志に意見したことはいつの間にかうやむやになりましたが……。ベッキーへの企画も、誰かが『これは笑えない』と意見できなかったから放送されたわけです」(同前)
昨今のお笑い界が抱える服従構造の延長線上に、ベッキーへの尻キックがあったとも考えられるようだ
NEWSポストセブン2018年1月8日07時00分
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