1/7(日) 10:10配信
3人制バスケは日本がリードする球技って知ってる?

 五輪種目の球技で、日本が世界をリードする競技があるのを知っていますか? 答えは、3人制バスケットボールの3×3です。世界で唯一のプロリーグ「3×3PREMIER・EXE」は、スポーツ・ビジネスモデルとしても、世界が注目する存在だ。新種目も含め、五輪後を心配する競技団体が多い中で、3×3は大きな可能性を秘めている。

■3×3PREMIER・EXE

 「日本はバスケット後進国といわれますが、3×3の男子の世界ランキングは15位。かなり高いレベルにあります。東京五輪ではメダルの可能性もある」。3×3のプロリーグ「PREMIER・EXE」の中村考昭(たかあき)コミッショナー(45)は、こう話す。

 プロリーグは、世界に先駆け14年にスタートした。男子プロバスケットBリーグより2年も早かった。20年東京五輪の正式種目に採用が決まった今年は、6〜9月のシーズンで、38万2921人の観客を動員。昨年の2・3倍を記録した。チーム数も創設時の6チームから18チームに増え、18年シーズンは、一気に倍増の36チームになることが決まっている。

 「3×3は、スポーツビジネスの中で、日本がコンテンツビジネスで世界をリードしている珍しい事例なんです」と中村氏は説明する。プロリーグを立ち上げるにあたり、中村氏らは成長可能性のあるモデルづくりから始めた。1チームの平均コストを年間300万〜400万円にし、チームを所有するオーナーシップ、試合会場、そして参加する選手の働き方をすべてシェア化するプランを作り上げた。

 それが3×3の成長のポイントでもある「3つのシェア」だ。年間300万〜400万円を安定して払い続ける経済力があれば、誰でもオーナーになれる。オーナーは、複数でも可能だ。実際、Bリーグ京都の岡田優介(33)は、お笑い芸人の麒麟・田村、タレントの大西ライオンとともにDIMEというチームの共同オーナーになっている。「最初は周りの評判とか気にして断ったが、バスケットの普及とか、自分がやることによって認知度が上がればいいと引き受けた」と岡田は言う。最初の2年は、オーナーとして運営に専念したが、3年目から試合に出場するようになった。

 試合会場は、使用料がかかる体育館やホールなどではなく、商店街やショッピングセンターのイベントスペース、駐車場などを無料で使用する。「スタジアムを造らなくても、場所をシェアすればいい。既に社会資本として投下されている駅前のスペースやショッピングモール、広場が試合会場になる。その日だけの場借りで、ヒーローショーやお笑いライブ、歌手のプロモーションと同じようなイベントをやる。他のイベントと同じように、3×3も入場無料でやれる」と中村氏は説明した。

 働き方のシェアは、プロスポーツの新しい形を提示する。3×3は、1試合10分で、1試合の出場報酬はおよそ1万円。時給にすると6万円だが、それだけでは食べていけない。3×3のプレーヤーは、ほとんどが自分の本業を持ち、副業として3×3の試合に出場する。現在は兼業は1人しかいないが、Bリーグ選手がシーズンオフを利用して参加することも可能だ。リーグの統計によると、プロリーグに参加する選手のうち63%が兼業プレーヤーだ。

 日本のプロリーグが、創設4年でチーム数を劇的に増やし、興行的にも成功を収めていることに、世界も注目している。国際バスケットボール連盟(FIBA)が、各国を集めた3×3推進会議の席で、日本のプロリーグの事例を取り上げ、中村氏も何度も説明に出向いたという。各国協会からの問い合わせも増えている。中村氏は「3×3は、FIBAの世界戦略の中の主要な柱の1つ。選手にしても、仕事として普通に食べられる状況に近い将来はできると思う。世界のスポーツビジネスのリーディングモデルに、3×3はなれると思う」と力説した。


https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180107-00088205-nksports-spo