多くの視聴者がいつも以上にテレビに触れ合う機会が増える正月には数多くの高視聴率番組が登場した。
毎年この時期の恒例となっている日テレ系の「箱根駅伝」の中継番組は、往路が29.4%、復路が29.7%と高視聴率を記録。

スポーツとしての魅力はもちろん、各選手たちの頑張る姿や作りモノではないリアルな人間模様に感動するという視聴者も多く、
年配層のウケが良いのはもちろん世代を問わないコンテンツであり、途中から視聴してもそれなりに楽しめるという点も強みだろう。

また、特筆すべきは、3日にテレビ朝日系で放送された映画「君の名は。」の平均視聴率17.4%だ。
大ヒットアニメ映画の地上波初放送ということを加味しても、録画視聴を選択する視聴者も多く想定される中でのこの数字は驚異的とも言える。

人気アニメ映画の強さは、これまで日テレ系で放送された一連の「スタジオジブリ」作品を見ても明らかで、今に始まったことではないが、改めてその強さを示した格好だ。

バラエティー番組では正月の恒例番組となっている、テレ朝系の「芸能人格付けチェック!これぞ真の一流品だ!2018お正月スペシャル」が、10%台後半の高視聴率を記録して根強い人気を示した。
人気タレントを投入し、正月ならではの“お祭り感”を煽る一方で、企画力でも視聴者を魅了した。

正月番組特有の“お祭り感”という意味ではテレビ朝日系「夢対決2018とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」も、多くの人気アスリートの参戦もあり、平均視聴率13.6%を記録した。
冠番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)が3月で終了することが決定するなど、昨今は何かとネガティブな話題の多い「とんねるず」にとっては久々に明るいニュースだろう。

若手時代は反骨精神を武器に人気を集めた「とんねるず」も、実績や年齢を重ねて芸能界の大物になってしまった結果、後輩芸能人とのカラミが自然と増えて、
その態度や発言が偉そうに見られてしまいがちで、ある種のやりにくさも感じさせているが、芸能界の“枠外”にいる人気プロスポーツ選手との相性はかなり良いように感じる。

同番組内では年上の芸人として共演する人気プロスポーツ選手を適度にイジり、アスリートが普段の競技中にはあまり見せない一面を視聴者に提示しつつ、
根底には学生時代に野球やサッカーに励んだ2人の一流アスリートに対する敬意の念も感じられ、そのバランスが見ていて心地良く、楽しめた。

企画力という点では、テレビ東京系で2日に放送されて平均視聴率13.5%を記録した「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦6 今年も出た出た!正月3時間スペシャル」の健闘も当然無視できない
他局に比べると予算的なハンデがある中、近年は企画力を駆使して「Youは何しに日本へ?」や「家、ついて行ってイイですか?」などの人気番組を世に放つテレ東の今の勢いを如実に表す格好となった。

他方、裏番組の「めちゃ×2イケてるッ! 中居&ナイナイ日本一周FINAL」(フジ系)は、当代きっての好感度タレントの元「SMAP」中居正広を投入したにもかかわらず、平均視聴率6.4%と「池の水―」にWスコアでの惨敗となった。

今回の「めちゃイケ」の番組内容がけっして悪かったとは思えないが、テレビが元気だった頃に人気芸能人を多数キャスティングし、莫大な制作費をかけた華やかな番組作りでテレビ史を彩ってきたフジ、
当時から「日曜ビッグスペシャル 全国大食い選手権」や後に続く「TVチャンピオン」シリーズなど少ない予算の中で“素人”を上手く活用した番組作りで高視聴率は得られないまでも
一部のファンからは高い評価を受けていたテレ東、両局のこれまでの番組作りのスタンスを象徴する2つの番組の視聴率の差が、今のテレビの置かれた状況を顕著に表しているようにも思う。

実際、今回の「めちゃイケ」の低視聴率、「池の水―-」の高視聴率は業界内でもかなり話題となっており、テレ東を高く評価する声がある一方で、テレビに携わることで収入を得ているテレビ局、
番組制作会社、芸能プロダクションなどの社員にとっては、かつて潤沢な資金を誇り、“バブルノリ”で名をはせたフジの苦戦は、けっして明るいニュースではないというのが正直なところ。

つづく

1/5(金) 14:15配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180105-00000037-sasahi-ent

写真
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20180105-00000037-sasahi-000-view.jpg