大島親方(元関脇・旭天鵬)の回想

二宮: 現役時代の幕内出場1470回は史上最多記録です。
     これまで多くの関取と相撲を取ったと思いますが、最強力士は誰でしょう?

大島: 今までやってきた中で一番強かったのは貴乃花さん(現・貴乃花親方)ですね。
     朝青龍関や白鵬関も強いんだけど、彼らは攻める相撲を取るじゃないですか。
     貴乃花さんは一回、相手を受け止めてから、攻めていましたね。
     今、思えば立ち合いで張ったりすることもない。

二宮: まさに横綱の相撲はこれだと。

大島: そうですね。別に朝青龍関や白鵬関の相撲が悪いというわけではないんですが、
     貴乃花さんは全部受け止めて、取っていたイメージです。

二宮: ぶつかっていく時は壁に当たるみたいな感覚でしょうか。

大島: こちらが攻めていても、力が真っすぐ相手に伝わらわないんですよ。

二宮: 吸収されるみたいなイメージ。やはり貴乃花さんだけですか。

大島: その時はそうでしたね。武蔵丸さん(現・武蔵川親方)、曙さんとも
     対戦したことはあって、“でかいな”とは思って圧倒されたこともありました。
     でも貴乃花さんには、向こうが「はい、はい、ご苦労さん」みたいな感じでひねられる。
     横綱相撲とは、“正面から相手を受け止めて圧倒的な力の差を見せつけて
     勝つこと”を指しますが、その言葉にそのまま当てはまるのが貴乃花さんなのかなと思います。