この記事は非常に説得力があり納得する内容である。

■なぜ日本のおじさんは、貴乃花親方にイラついてしまうのか
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/05/news033.html

ー抜粋ー

●貴乃花親方が「おじさん」から叩かれている。
「理事のくせに協会に協力しないのは組織人失格」「改革したいからって、
飲み屋のケンカを大騒ぎしすぎだ」といった主張を聞いていると、筆者の窪田氏は「何かに似ているな」と感じたという。
それが何かというと……。貴乃花親方が「おじさん」から叩かれている。
連日のようにマスコミが取り上げる貴ノ岩暴行事件で、ウン十年もこの世界を見てきたと胸を張るベテランの相撲ジャーナリストや、
著名な評論家、学者などのコメンテーター、果ては大御所芸能人というそれぞれの世界で社会的地位を築いた方たちがこぞって
貴乃花親方批判を展開しているのだ。その主張をザックリとまとめると、こんな調子である。
「理事のくせに協会に協力しないのは組織人失格」「改革したいからって、飲み屋のケンカを大騒ぎしすぎだ」
「正義感からかもしれないが、なにもしゃべらないのは頑固すぎる」
なかには、「ファッションがヤクザみたい」「理事会でふんぞりかえって態度が悪い」など本筋ではないバッシングや、
過去の「洗脳騒動」を引き合いに、「カルト」なんて誹謗(ひぼう)中傷をしている御仁もいる。
騒動が勃発してから次から次へとわいて出るこの手の「おじさん」たちの主張を見て、何かに似ているなとずっと考えていたのだが、
先日ようやくそれがなにか思い出した。

●「内部告発者」に対して行われるバッシングだ。
こういう仕事をしている関係で、企業や役所という組織の不正をタレ込む人とちょいちょいお会いするのだが、そういう方は往々にして
貴乃花親方のようなバッシングに遭っている。
警察やマスコミにタレコミを入れる前に、なぜ組織内で声をあげなかったのだと「裏切り者」扱いをされて孤立。ポストから外されたり、
悪評を流されたりと露骨な嫌がらせを受ける人も少なくない。

自分だっていろいろ理不尽なことや納得できないことはあった。でも、それにじっと歯をくいしばって堪えるのが「組織人」だろ、という思いがあるからだ。
オレたちのような我慢と妥協を、なぜこいつはしないのだろう、という苛立ちがあるのだ。
なんてことを言うと、「いや、貴乃花親方の場合、理事のくせに組織内で問題解決を訴えずに、いきなり警察やマスコミへ駆け込むのは筋が違う」とか
言い出す方がいるが、そういう苦しい話を正論のように語るあたりが、この「病」の根が深いところだ。

●組織人が事件を解決するのは難しい
今回のような事件は、相撲協会やその意向を「忖度」してしまう組織人では決して解決できない。
なぜかというと、暴行を働いた日馬富士を含め、流血するまで傍観していた白鵬など横綱が3人も関わっている事件だからだ。
組織内で「力」をもつ人間が関わる不正というものは、弱い立場からの主張は握り潰されるのは世の常だ。
それは組織の体質が古いとか新しいとかは一切関係ない。
分かりやすいのが、Uberのセクハラ事件だ。ご存じの方も多いだろうが、このシリコンバレー発の最先端企業で働く女性が、
上司からセクハラを受けていると人事部に告発したものの、「自分は何が違法で何が違法でないか熟知している。
キミのことを切ろうと思えばいつでも簡単に切れる」と逆に脅され、クビに追い込まれたのである。

理由はシンプルで、このセクハラ上司は社内で「ハイパフォーマー」と呼ばれるエリート社員だったのだ。会社に貢献する稼ぎ頭ということで、
社内ではやりたい放題で、誰もとがめられなかったというのだ。
もし仮にUberの第三者委員会みたいなものがたちあがって、調査を始めたとしても、できあがる報告書は相撲協会危機管理委員会のように
「加害者擁護色」の強い内容になったことだろう。ハイパフォーマーに辞められでもしたら、組織の大きな損失だからだ。

●ここまで言えば、なにを言わんとしているかお分かりだろう。
現在、幕内の20%を占めるモンゴル人力士たちの頂点に君臨する、
白鵬、日馬富士、鶴竜という3人のハイパフォーマーががっつりと関わっている「事件」である。

続く