12月1日、モスクワで2018年ロシア・ワールドカップのグループステージ組み合わせ抽選会が行われ、各大陸予選を通過した出場32カ国に運命が示された。

勝ち進みを不安視するもの、序盤はそこまでの困難はないと思っているもの、そしてもちろん組み合わせに喜んでいるものもいる。

『Goal』では、勝ち組と負け組に分けて見ていくことにしよう。

〜勝ち組〜

■イングランド

ポット2だったイングランドは、難しいグループに入るのではないかという恐れがあったが、勝ち抜けることができる可能性が極めて高いと感じられる組み合わせに恵まれた。

初戦は勝たなければならないチュニジアが相手であり、プレミアリーグ選抜とも言うべきベルギーとの試合では相手選手たちの長所と短所がよくわかったチームとの対戦となる

しかし、スリーライオンズが心地よく感じているのはグループステージの組み合わせだけではない。準々決勝進出をかけたノックアウトステージ初戦での対戦相手も、ポーランド、セネガル、日本、そしてコロンビアのいずれかと比較的与し易い相手となる。

ガレス・サウスゲイト監督はワールドカップでのイングランドの躍進に高い望みを持っているが、それは組み合わせが決まったことでさらに強くなったことだろう。

■スペイン

安堵のため息をついたもう一つの第2シードの国だ。始めにポルトガルと同じグループBが引き当てられたとき、“死の組”になると思われたが、その後に同グループに入ったのはモロッコとイラン。“無敵艦隊”の前には比較的穏やかな船出が待っていそうだ。

モロッコは簡単に倒せるようなチームではないが、これまで戦ってきた相手よりも与し易い相手であることは間違いない。

もう一つのイランは、FIFAランキングでは32位ながらダークホース的な存在である。しかしフレン・ロペテギ率いるチームにとっては倒す確信の持てる相手であるだろう。イランはポッド3の中の最弱国でもある。

ベスト16で対戦することになるのは、ロシア、サウジアラビア、エジプト、そしてウルグアイのいずれかとなるが、大会で上位進出を狙うスペインにとっては視界良好といえるだろう。

■ブラジル

グループEに入った5度の世界王者は、6度目の優勝に向けて非常に良いグループに入った。前回大会では準決勝でドイツに1?7という屈辱的な大敗を被り、セレソンにはその失態を、クオリティの高いサッカーで覆さなければならないという非常に大きなプレッシャーがのしかかることだろう。

ブラジルの初戦の相手は、ポッド2のスイスとなった。ネイマールら選手たちはまったく思ってもいないだろうが、仮にその試合で勝ち点を取りこぼすようなことがあったとしても、2戦目以降の相手はコスタリカとセルビアである。

ベスト16で戦う相手がドイツとなればそれは驚きではあるが、多くのタレントを抱えたブラジルが早期敗退の憂き目に遭うことは考え難い。

〜負け組〜

■アルゼンチン

数多くのワールドクラスのスターを抱えながらも、アルゼンチンは南米予選敗退をなんとか逃れてロシアへの切符を手にいれた。事実、予選最終戦のエクアドル戦でのリオネル・メッシのマスタークラスのパフォーマンスのみがアルゼンチンを本大会進出へ導いたといっても良い。

しかし、アルゼンチンの前にはまたも苦難が待ち構える。ホルヘ・サンパオリ率いるチームは、難敵3チームと同居するグループステージで、最もタフなグループに入った。

メッシとその仲間達は、まずはEURO2016でイングランドを破り準々決勝に進出したアイルランドからの挑戦を受け、そして2戦目、3戦目はここのところ国際舞台であまり良い成績が出ていないナイジェリア、クロアチアという幾分与し易い相手と戦うことになる。しかし、彼らがその成績とは裏腹にトップクラブで活躍する選手たちを揃えていることを忘れてはならない。

アルゼンチンがベスト16、さらにその先へ進むためには、開幕までのここからで劇的な進化を遂げなければならないだろう。