>>474続き

(略)では、なぜ、こうした誤解が起こるのか。 

なんとなく私たちは、司馬遼太郎氏の人気小説『竜馬がゆく』が刊行されたから、
坂本龍馬は有名になったのであり、教科書に掲載されたのも、小説が出版された
1960年代半ばぐらいからだと思い込んでいるのだろう。

でも、それも間違いだ。

昭和32年に発行された教科書には「土佐藩の尊王攘夷派を代表する坂本竜馬・中岡慎太郎らの
藩士は、薩・長両藩の間を説き、一八六六年(慶応二年)一月、薩長連合の密約を成立させた
」(豊田武著『高等学校社会科 日本史』中京出版)とあり、司馬氏の小説がブレイクする
前から龍馬は教科書に登場しているのだ。
しかも戦前同様、薩長同盟の項には両藩の代表であった西郷と木戸は登場していない。

このように、戦前からずっと龍馬は教科書に出てくるメジャーな人物だったのである。
それが「昔の教科書には載っていなかった」などという誤った報道によって、
「そうか。それなら消えても仕方ないな」という気持ちを視聴者が起こさないことを願いたいものである。