[映画.com ニュース] 人気児童書シリーズが原作の劇場アニメの第5作「映画かいけつゾロリ ZZ(ダブルゼット)のひみつ」が11月25日から公開される。ヒロインの声を務めたのは「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子。今作のタイトルやゾロリのトレードマークである「ZZ」にちなみ、グループ名に「Z」のつく百田に白羽の矢が立った。だが本格的な声優業は初めて。百田を支えたのは、かつて共演した野沢雅子から得た金言と、ファンがくれた自信。そして忘れてはならない、主演声優・山寺宏一の存在だった。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)

原ゆたか氏による「かいけつゾロリ」の30周年記念作。過去にタイムスリップしたゾロリが、若き日のゾロリママ、ゾロリーヌに出会う。謎の怪獣に飲み込まれたゾロリーヌの救出に奮闘するなかで、トレードマーク「ZZ」の秘密に迫っていく。

アイドルとして多くのファンに歌声を届けてきたが、実は「自分の声が好きじゃなかった」という百田。コンプレックスを払拭するきっかけになったのが、ナレーションやラジオなど声の仕事だった。「スタッフさんやお店の店員さんが『ラジオ聞いてるよ』と言ってくれたり。『いい声だよね』と言っていただけるようになってから、自信が持てるようになりました」。そうした声に支えられ、「今までに感じたことのない楽しさとやりがい、達成感を感じました」

「キャラクターに声をあてるってどんな感じなのかな」と興味を持ち始めた頃、今作のオファーが舞い込んだ。声優業はほぼ初挑戦ながら、物語の鍵を握るキャラクター、ゾロリーヌの声を務めることになり「こんな重要な役だと思ってなくて。『えー! ガッツリやん!』みたいな(笑)。嬉しさより先に、『大丈夫かな』と不安になりました」と吐露する。

悩む百田を救ったのが、もうひとつの“Z”、「ドラゴンボールZ 復活の『F』」で共演したベテラン声優・野沢雅子の「思ったままいった方がいい」というアドバイスだった。「考えすぎていたものを一回全部捨てて、本編に臨んでみたら違和感が消えました」と述懐。さらに「監督も『ゾロリに気持ちをぶつけてあげて』と言ってくださいました。気持ちを込めた結果、『私の声でゾロリーヌが生きている』と感じられた」

役作りも苦労の連続だった。ゾロリママといえば、ゾロリを見守る優しいお母さんとして人気だが、「若い頃は描かれたことがないので、(キャラクター像を)想像するしかなかった。でも想像しすぎてしまって、台本を読んだ時『あれ!?』って。自分が膨らませていたイメージと全然違った。あんなにアクティブだと思っていなくて」と戸惑うも、快活なゾロリーヌの姿に「自分に近いものがある」と共通点を見出した。そこに、NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」で母親役を演じた経験を生かし「役作りは自分自身と、ドラマで学んだ母性を混ぜました」

主題歌「夢は心のつばさ」では、ゾロリ役の山寺とデュエットに挑戦した。レコーディング前は、「山寺さんがテレビに出ていらっしゃるのを見る度、どんどんプレッシャーになっていきました。『すごい方だということは重々わかっているので、これ以上見せないでくださ〜い!』みたいな気持ち」と緊張が高まるばかりだったという。当日、そんな気持ちを察したかのように「山寺さんは本当に優しくて。私はゾロリを包み込まなければいけない役なのに、山寺さんが包み込んでくださった」と振り返る。「『ついていきます! 息子よ』みたいな感じでした(笑)。親子の役でよかったなと思います」

「ももクロ」で得た“Zの縁”に導かれ、声優業に出合い、野沢と山寺という“最強のレジェンド声優”に出会った百田。「タイミングに恵まれていたと思います。こんなことがあるなんて、本当にびっくり。奇跡のコラボです」と感慨深げに語り、「本当に名前にZがついていてよかった〜!」と笑顔をはじけさせた。

(映画.com速報)

http://eiga.com/news/20171126/3/

声優を務めた百田夏菜子
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