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■一流のクラブを作るには、一流のひとにならなければならない

 改革は急ピッチで進められている。

 クラブスタッフは幅広く一般公募して新規採用し、旧体制からの人材を含めて陣容の変化も施した。同時にアカデミーやスクールの強化に着手し、環境改善への投資もスタート。
それまで資金を投下できなかったスポーツドクターやメンタルトレーナーの招聘、エアウィーブ社(寝具による疲労回復)と睡眠サポーター契約、さらには元陸上の五輪メダリストである為末大さんとのフィジカルアドバイザー契約など、多岐に渡る。

「前の体制から、すべてを変えたわけではありません。すべてがダメなわけじゃなかったですからね。残すべきものは残します。残す、捨てる、加える。この3つ。経営の立て直しはその感覚でやっています。
正直、人間関係をどうのこうの言っていてもなにもはじまらない。社員はいま、25〜6名のメンバーでやっていますが、1日1日強くなっていると実感していますし、気持ちのなかで一枚岩になれてきたかなと思います。
こう見えて、けっこう厳しい社長なんです。求めることも多い。よく言っているのは、一流のひとになろうと。一流のクラブを作るには、一流のひとにならなければならない。クラブの合言葉ですね。
なにを変えれば一流になれるのかを考えようということ。少しは優しいところもありますけどね(笑)」

 チームは2試合を残して自動昇格枠の2位を堅持しているが、3位の名古屋グランパス、4位のアビスパ福岡とは2ポイント差と予断を許さない。

 もし悲願のJ1初昇格を果たせたなら、シーズンオフに補強の大オペレーションが展開されるのか。Vファーレンのファンならずとも、気になるポイントだ。この点について田社長は笑みを浮かべながら、いかにも“らしい”独自の価値観を示した。

「そうですね、そこ(補強)のところは期待していただいてもいいかなと思います。でもサッカーの難しさは、いい選手を獲ったとしても決して上手くいくわけじゃないというところ。
新しい選手を獲るのはいいけど、いまいる選手の将来も考えなければいけない立場にある。
一方で勝つためにはスターが欲しいし、やっぱり生え抜きや地元出身の選手が大事なのかなとか、いろいろな想いが巡りますね。『乞うご期待』とだけ言っておきましょうか」

■人間、驕って謙虚さをなくしたならダメ。方向性が変わってしまう

 ただ一方で、スピード感を持って取り組まなければいけないという危機感がある。

「これだけ傷んだV・ファーレンですから、イメージを払拭して日本全国に発信していくためには、3年や4年をかけていては遅いです。3年目にはすごいチームになっていなければいけない。
それくらいの気概を持って、突き進んでいきますよ! みなさん、応援のほどよろしくお願いします!」

 とても気さくで、明るく、どんな質問にも真摯に答えてくれた田社長。そんな長崎の名士が取材中、真顔でじっと私の目を見つめ、ポツリとこう呟いた。

「人間、驕って謙虚さをなくしたならダメ。方向性が変わってしまいますから」

 この言葉に、真のリーダーの神髄が凝縮されている気がした。

 田社長が陣頭指揮に立ち、日進月歩の進化を続けるV・ファーレン長崎。Jクラブの新たなカタチが、そこにある。

<了>

PROFILE
たかた・あきら/通信販売会社『ジャパネットたかた』の創業者。独特の語り口調でお茶の間の人気者となり、同社を全国有数の大企業に成長させた。
2015年1月に社長職を退任。そして今年4月、ジャパネットホールディングスが経営難に陥ったV・ファーレン長崎を子会社化したことを受け、
クラブの代表取締役社長に就任した。1948年11月3日生まれ、長崎県平戸市出身。

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(続く)