欧州遠征中のサッカー日本代表は、11月10日の国際親善試合、ブラジル戦では1対3で完敗を喫した。2戦目となるベルギー戦は日本時間15日午前4時45分にキックオフ。テレビ朝日系で中継され、解説はお馴染みの松木安太郎氏と中山雅史氏が務める。

 松木氏といえば、視聴者の気持ちを代弁するような叫びと戦術に対するわかりやすい説明、時には予言者かと思わせるような試合展開を読む能力で、ネット上でも人気が高い。試験的にビデオによるリプレー判定が導入されたブラジル戦中継を、松木安太郎研究家でライターのシエ藤氏が振り返る。

「視聴者の気持ちを代弁する“松木スタイル”が健在でしたね。前半8分、ビデオ確認によって日本がPKを取られると、『ビデオOKになったからって、最初から使わなくてもいいのにね』と珍しく愚痴をこぼした。しかし、前半30分、相手の手にボールが当たったかのように見えると、『ハンドだよね、ハンド。これはビデオで見れる』と突如として放送席からリプレー判定を要求したんです」(以下同)

 視聴者は「さっき使わなくてもいいって言っていただろ!!」と一斉に突っ込んだはずだ。ここに、松木氏の魅力が詰まっているという。

「おそらくテレビの前で観戦している人も、PKの時は『最初から使うなよ!』と思い、ハンドっぽい時は『なんで今使わないんだ!』と感じたでしょう。通常、テレビで話す解説者は、そう思っても恥ずかしがって本音を言わないんですよ。でも、松木さんは自らがピエロになって、視聴者の思いを代弁してくれている。そして、突っ込ませてくれるんです。今のテレビは、視聴者との双方向を目指している。まさに、時代に求められる“視聴者参加型解説者”と言えます」

 前半15分に2本目のPKを取られると、「このレフェリー好きだね、PK」と小さくつぶやいた。

「普段、ペナルティエリアで日本選手が倒れると、何かと『PK! PK!』と叫ぶ松木さんだけに『自分が1番好きなくせに!』とテレビの前で突っ込まれたことでしょう。これも視聴者をテレビから離さない妙技。松木さんの解説を聞いていると、テレビを見ている人も一緒に盛り上がれる。一体感を味わえるんです」

 前半17分で2失点を喫した試合展開からすれば、チャンネルを変えられてもおかしくなかった。それでも、テレ朝のブラジル戦は16.3%を記録。TBS系の『金スマ』や『コウノドリ』、日本テレビ系の『ハリー・ポッターと謎のプリンス』などの強力番組を倒して、同時間帯1位を獲得している。双方向型の松木流解説も、1つの要因となったかもしれない。

 週の半ばで最も気だるく感じる水曜早朝に放送されるベルギー戦。松木氏に突っ込んでいる間に、家を出る時間を忘れないようにしたい。


https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171114-00000021-pseven-spo