2017年シーズンが終わり、来季の契約問題が話題の大リーグ。日本選手にとって厳しいオフを迎えようとしている。

 まずはマーリンズを戦力外、つまりクビになったイチロー。球団側に18年シーズンの契約について選択権があった。新しいオーナーの一員で、最高経営責任者(CEO)に就任したヤンキース時代の盟友、デレク・ジーター氏との関係から、一時は「契約延長するのではないか」(サンセンチネル紙)という声が、現地フロリダ州マイアミのメディアの間であったが、「ビジネスに徹したようだ」(マイアミ・ヘラルド紙)。

 野手最年長の第4の外野手として、43歳だった今季は136試合に出場して打率.255。代打での安打は記録の28本に1本届かない27本と勝負強さを発揮した。だが、新オーナー陣が年俸総額を9000万ドル(約102億円)に抑える方針を発表したことから雲行きが変わった。「44歳を迎える来季に200万ドル(約2億2800万円)を支払うには高すぎる」(サンセンチネル紙)と判断したのが実際らしい。

 メジャー屈指を誇る外野陣も年俸削減のあおりを受け、27年までの契約を結んでいるスタントンでさえ、年俸2500万ドル(約28億5000万円)に上ることから放出候補になっているほど。ただ、マイアミ・ヘラルド紙は200万ドルではなく、「大幅ダウンをのむなら再契約もありうる」と伝えている。

 一方、ヤンキースの田中将大(28)の場合。7年1億5500万ドル(約177億円)の契約を結んでいたが、4年目終了の時点で契約内容の見直しが可能で、不成立ならFAになる権利(オプト・アウトという)を有していた。

 だが、権利を行使することなく、これまでの条件で来季以降も縦縞のユニホームに袖を通すことになった。田中は自身のツイッターで英語と日本語でその理由を語っている。「この4年間、選手としてヤンキースという球団、並びにヤンキース・ファンのためにプレーできたことを心より嬉しく思っております。ですので、ヤンキースに残るという決断は私にとって決して難しいものではありませんでした」

 ポストシーズンこそ窮地を救う投球をしたが、シーズン中は13勝と4年連続2桁勝利を挙げたとはいえ、黒星は初の2桁12敗、防御率は最悪の4.74と散々だった。「とてもいい条件で再契約する数字ではなかった」(ニューヨーク・ポスト紙)

 そして、ドジャースのダルビッシュ有(31)。ワールドシリーズで2試合に先発したが、ともに1回3分の1で大量失点でKOを食らった。防御率はなんと21.60! ドジャースが29年ぶりのチャンピオンを逸する“戦犯”となった。ロサンゼルス・タイムズ紙は「彼はワールドシリーズ史上、最も防御率が悪い先発投手となった」と書いた。

 7月31日の期限ギリギリにレンジャーズから「ドジャースを世界一にさせるために」移籍してきた。2度にわたる背信投球に、「もうファンは誰も彼にサインを求めないだろう」(ロサンゼルス・タイムズ紙)。ダルビッシュ自身はワールドシリーズ終了後の会見で、「ワールドシリーズでやり返すチャンスがある球団がベスト。自分はドジャースでやり返したい」と語り、残留が希望というが、新たな契約は難しい情勢という。MLBのHPは「マリナーズが有力」と報じた。ただ、FA市場で争奪戦になった場合は、その力から6年総額1億4000万ドル(約160億円)の大型契約になるという評価もある。3選手以外にも、青木宣親(35)はメッツを戦力外となり、上原浩治もカブスとの1年契約は終了し、ともにFAとなっている。来季プレーする球団は未定だ。

 今オフにポスティングシステムで太平洋を渡る日本ハムの大谷翔平(23)は、代理人が大リーグやNBA、NFLの主力選手、大物芸能人を顧客に抱えるネズ・バレロ氏に決まり、確実に実現へ進んでいる。とはいえ、新労使協定の発効により、契約金は575万ドル(約6億5000万円)が最高額で、年俸は最低保障の54万5000ドル(約6200万円)となる。大谷は金額よりメジャーでプレーすることを最優先にしているとはいえ、以前の100億円以上の契約から比べると寂しい気がする。

 大型契約の情報が飛び交う中、日本選手には厳しいオフとなっているようだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171114-00000542-san-base