<ルヴァン杯:C大阪2−0川崎F>◇決勝◇4日◇埼玉

 セレッソ大阪の日本代表FW杉本健勇(24)が、47秒で無冠の呪縛を解いた。ともに初タイトルをかけた川崎フロンターレ戦で開始47秒に先制弾。その後は防戦一方の展開を耐え、後半ロスタイムにMFソウザ(29)の追加点で2−0と突き放した。C大阪はJリーグ参入23年目の初タイトルで賞金1億5000万円を獲得し、MVPの杉本は仲間を思い涙した。勢いに乗り、現在4強の天皇杯で2冠を狙う。


 映像でしかなかった世界が広がった。メインスタンドでの優勝カップ授与。「あんな上から見る景色初めて!」と杉本は無邪気に笑った。耐えて耐え抜いた90分+4分。苦しみの後には、絶景が待っていた。「サイコー!」。決勝がルヴァン杯初出場。MVPにも輝くとインタビューで「みんなの思いが詰まったゴール」と涙をにじませた。

 大会史上最速の47秒でゴールをこじ開けた。柿谷が頭でつないだボールを相手DFがミスした隙を逃さない。鋭く反転して右足で決めた。「最初のチャンスに絶対俺たちが決めよう」。試合前の言葉通り、5万3452人をのみこんだ異様な雰囲気、そしてC大阪を縛り付けてきた無冠の重圧を47秒弾で振り払った。

 優勝を決めた瞬間はピッチに突っ伏したまま動けなかった。「いろんなものがこみ上げてきて」。ルヴァン杯はベンチ入りもなかった。チームの方針とはいえ複雑な思いがあった。「ここまで戦ってくれたメンバーに申し訳ないというか、相当悔しいと思うし、負けたら本当に顔見せられんな、と」。1点を守り抜く展開で、DFの位置まで下がって体を張った。



 ボールは7割近く支配されたが「勝ったチームが強いんですよ!」。前身のヤンマー時代は天皇杯などを制したが、93年にC大阪となってからはV逸を繰り返した。00年第1ステージ最終戦は川崎F戦に敗れ、05年も最終戦の東京戦の残り1秒で追いつかれた。ともに勝てば優勝だった大一番で泣いた。天皇杯も準優勝3回。内容ではない、求めたのは勝利だった。

 C大阪は昨季、J2の4位からプレーオフを勝ち抜いてJ1に復帰した。終盤に杉本は肋骨(ろっこつ)を折りながら戦った。恵まれた才能から個人技に走ることもあったが、今はチームのために骨身を削ることができる。MVPの賞金100万円も仲間に焼き肉をふるまう。「このチーム、このメンバーでタイトルをとりたかった」。バラバラに散っていた桜の花は1つになり、力強く咲き誇った。【実藤健一】

 ▼ルヴァン杯決勝最速ゴール C大阪FW杉本が、開始47秒(公式記録上は前半1分)にゴール。ルヴァン杯の決勝では、99年に柏MF大野敏隆が鹿島戦でマークした前半5分を更新する最速ゴール記録。今季の杉本は、J1リーグ戦でも8月5日の札幌戦(3−1)で開始26秒に先制点を挙げている。

11/5(日) 7:28配信 日刊スポーツ
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