日本シリーズが盛り上がっている。パ・リーグ優勝チームの福岡ソフトバンクホークスとセ・リーグ3位からクライマックスシリーズを突破した横浜DeNAベイスターズの戦い。11月1日に横浜スタジアムで行われた第4戦はベイスターズが本拠地スタンドからの大声援を味方につけ、王手をかけていたホークスを下し、1勝3敗とした。

 その現場でとても気になったことがある。プレーの面ではなくグラウンド外での話だ。10月31日の第2戦と11月1日の第3戦、大勢のベイスターズファンが球場に入れず、「雰囲気だけでも味わいたい」と外まで聞こえる大声援を耳にしながら、それに合わせて応援している姿が目に入った。その中のファンに話を聞くと、どうやら日本シリーズのチケットが売り切れで買おうと思っても手にすることができなかったという。

 10月28日にチケット販売開始となった今回の日本シリーズ。同日10時に一般販売がスタートしたものの、昼過ぎには大手チケットサイトで売り切れ。約2時間で“プレミアムチケット”となっていた。

 「お金を注ぎ込めばチケットは買える。でも、その値段はあまりにも高い。いくら生観戦したいと思っても簡単に用意できるような額じゃない。自分たちのような熱いファンの気持ちを逆手にとって売り物にしようとするなんて絶対に許せないです。本当に何とかしてもらえないでしょうか」

 前出の熱狂的なベイスターズファンは怒りをあらわにしていた。その怒りの矛先は「チケット転売」についてだ。

 第3、4戦が行われた横浜スタジアムのスタンドの光景を目にして「おかしいな」と感じた人は1人や2人ではないはず。いや、第1、2戦が行われていたホークスの本拠地、ヤフオクドームのスタンドでも、それは同じだった。日本シリーズは全試合のチケットが完売だったにもかかわらず、どの試合でも明らかにいくつかの空席が散見されていたからだ。

●30倍近い値段で売られていた

 球界関係者の1人は次のように嘆く。

 「最初から転売する目的でチケットを大量購入したものの転売サイトなどで買い手がつかず、売れ残った席が試合当日に空席となる。当たり前の話だが、転売目的でチケットを購入する人はそもそもそのイベントに行く気などない。ましてや、そういう連中は会場に行けば万が一、何らかの形で“足”がついてしまうのではないかということも警戒するだろう。だからチケットは『札止め』でも会場の見た目は『満員』にならないというアンバランスな現象が起きてしまう」

 前出の熱狂的なベイスターズファンが「簡単に用意できるような額じゃない」と怒りを露にしたように転売されるチケットの額は法外だ。例えば某転売サイトでは11月2日未明現在、11月3日にヤフオクドームで組まれている日本シリーズ第6戦の「フィールドシートA3塁」というタイプのチケットが、2枚20万円で販売されていた。

 ローソンチケットで通常価格ならば1枚1万5000円。約6.67倍だ。しかも第5戦の勝敗の行方が判明しておらず、結果いかんによってはホークスの日本一が決まって第6戦が行われない可能性もある。それでもこれだけの額が付けられているのだから開いた口がふさがらない。「30倍近い値段で売られていたこともあった」との情報もある。一部の転売サイトには今も5000件以上のチケットがエントリーされており、数多くの売買が成立している。しかし、これは「不正転売」で言うまでもなく犯罪行為だ。

 日本シリーズを主催する日本野球機構(NPB)も10月17日、NPBの主催または開催運営する試合で転売もしくは譲渡されたチケットについては権利が無効になり、球場や会場には入場できない方針を明らかにしている。しかし、これは「有名無実化」していて、実際にはチェック機能が甘く、日本シリーズのチケット転売がネット上で“無法地帯”となっているのだ。

 ちなみに今回の日本シリーズで対戦しているホークス、ベイスターズともにレギュラーシーズンなどの主催試合ではスマートフォンを使って電子チケットが購入できるシステムを導入していて、転売など不正がしにくい状況を確立させている。しかしながら、この電子チケットにも盲点があり、他のイベントにおいてはスマホを取引相手に貸し出して売買を成立させようとした転売者が逮捕されるという事件も起きている。

つづく

11/2(木) 12:19配信 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171102-00000060-zdn_mkt-bus_all