従来のメディア業界の住人と、ラシュトンらネット配信業の住人から見た日本の景色はまったく違う。
--{日本のスポーツ界は「宝の山」}--

(c) Vリーグ機構

「日本のスポーツ界は、まだ開発されてない領域がたくさんある。そこに、DAZNが投資することで、いい循環が生まれる。近年、日本のスポーツ業界は行き詰まっていたような感じがあったが、再び車輪が回り始めたんじゃないかなと思います」

昨年スタートした国内バスケットリーグ「Bリーグ」は、メインスポンサーであるソフトバンクが4年で125億円の金銭的バックアップを約束したと報道されている。見返りとしてBリーグの独占配信権を得たが、ソフトバンクの場合も、成長産業に投資したという意味合いの方が大きい。

現在、国内におけるスポーツ産業の市場規模は約5兆円だ。日本政府は、この規模を2025年までに約3倍の15兆円規模にすると宣言した。確かに、日本スポーツ界は今、追い風の中にある。19年にラグビーワールドカップが開催され、翌20年には東京五輪が控えている。そこに歩調を合わせるかのようにネットTVが出現した。

放送局を開設するには、さまざまな制限やルールがある一方で、配信は、お金と技術さえあれば誰でも手掛けることができる。世界では、すでにネット中継が主流になりつつある。有り体な言い方をすれば、日本にとってネットTVは「黒船」である。

ラシュトンは「われわれが意図しているものは、既存のスポーツ放送のマーケットを崩壊させかねない」と発言する。「DAZNの加入者は、1年ですでに100万人を突破しました。スポーツ業界に限って言えば、3年後くらいには、OTTと、通常の放送サービスの立場は入れ替わっているのではないでしょうか。5年から7年の間には、世帯契約数で言うと、350万世帯くらいになると思います」

およそ9割の世帯が何らかの有料放送と契約しているアメリカなどと比べて、日本にはまだテレビは「タダ」という意識が強い。どこまで有料のネット放送が広まるか未知数な部分もある。ただ、日本のスポーツ界、そしてそれを取り巻く業界が今、大きなうねりの中にいることは疑いようがない。

ネットTVの台頭で、世界中でスポーツの放映権料が急騰している。今回、Jリーグの放映権料入札に参加した企業は、パフォームを含む3社だ。ラシュトンがその入札合戦を振り返る。

「すごく競争が激しかった。われわれの提示した額は、他社より大きいということは自信をもっていましたが、どこも同じくらいだったと思う」

「10年2100億円」の衝撃。しかし、もっと驚くべきは、この数字は今、世界では「適正価格」だということだ。ラシュトンに、2100億円という提示額についてJリーグの村井満チェアマンがどのような反応を示したかと聞くと、笑いながらこう言った。

「もっと増やしてくれませんか? と。冗談ですけどね」

中村計◎1973年、千葉県生まれ。同志社大学法学部卒。スポーツ新聞記者を経て独立。『甲子園が割れた日』(新潮社)でミズノスポーツライター賞受賞。著書に『佐賀北の夏』『歓声から遠く離れて』(新潮文庫)など。2017年、『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇』(集英社)で講談社ノンフィクション賞を受賞した。

◆DAZN
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◆DAZN for DOCOMO
https://www.nttdocomo.co.jp/service/d4d/index.html?icid=CRP_TOP_mainPR_CRP_SER_d4d

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