番組の最後には、『欽ドン!』の名コーナー『良い子 悪い子 普通の子』で香取と2人でコントを演じた。収録から40分が経つと、萩本が「飽きたから、子供の衣装とかないかな?」と完全なアドリブを仕掛けてきた。慌てたスタッフは動物柄の短パンを香取に履かせて、何とか場を取り繕ったものの、ザキヤマが「怖い!」というように香取は明らかに変な格好になっていた。すると、香取が「おじさんが必死に脱いでいたよ」と漏らした。困った男性スタッフが自分の履いていた短パンを脱ぎ、香取に履かせていたと説明。会場は爆笑に包まれた。

「1人で段取りをぶち壊し、勝手にアドリブを入れてスタッフを慌てさせた。実は、『欽ドン!』や『欽どこ』でも散々リハーサルをしながら、本番で全く関係ないことをして斎藤清六や見栄晴などを困らせていた。それが高視聴率に繋がっていたのです。追い込まれた時に生まれる必死さによって、番組は面白くなるという原点を欽ちゃんが思い出させてくれました。予定調和になりがちな今のテレビ界へのアンチテーゼでしたね」(同前)

 萩本の姿勢と最近の番組の体質はまるで違うものになっているという。

「今は誰かが責任を取って物事を決めるのではなく、あらゆる所にお伺いを立てないといけない。いわば、何人もの許可を取らないと前に進まない。裏を返せば、責任の所在が不明確になって、結局誰も責任を取らないという傾向があります。

 でも、欽ちゃんは常に1人で責任を取ってきた。『欽ドン!』が終わるときも、最後のレギュラーだったダウンタウンに『全部僕が悪い。僕は君たちを見ていて絶対に行けると思うから、この番組はなくなるけど、君たちは絶対に違う所から出ていくから、心配しないでいいよ』と言ってくれたと松本人志がラジオで感謝の気持ちを明かしています」(同前)

『おじゃMAP!!』では、「この年齢になると落ち着きたがるの。慎吾には(萩本とレギュラー番組をしていた)17歳に戻って、また汗かいて夢中でやってもらいたい」と香取の再出発にエールを送った欽ちゃん。ある意味、テレビ界への叱咤激励だったのかもしれない。