それ以降、フォーリンラブ、メイプル超合金、相席スタート、パーパーなどの男女コンビが続々と台頭してきた。
この「第二世代」の男女コンビの特徴は、2人の間に生々しい恋愛関係を感じさせないということだ。

フォーリンラブの2人は「イエス、フォーリンラブ」という決め台詞で終わる恋愛系のネタが有名だが、あくまでも素の2人はビジネスライクな関係であり、ベタベタしたところは感じられない。
メイプル超合金は、金髪で全身真っ赤な衣装のカズレーザーと、100キロを超えるぽっちゃりボティを誇る安藤なつのコンビ。
2人とも個性が強すぎて、男女コンビであるということすらほとんど意識されていないかもしれない。

第二世代の男女コンビは、お互いが相手のことを恋愛対象として全く意識しておらず、たまたまコンビを組んだ相手が異性だっただけ、というふうに見える。
こういう男女コンビが一般的になったのは、女性芸人が特別な存在ではなくなった時代を象徴している。

その点、若手芸人でありながら交際中の男女コンビというにゃんこスターは、一周回って珍しいケースである。
もともとピン芸人として活動していた2人が付き合い始めて、それをきっかけにコンビとしても活動を始めたのだという。
興味深いのは、テレビ番組の中で「もし別れてしまったらコンビはどうするのか?」という問いに対して、女性のアンゴラ村長が「別れたら解散かな」と答えていたことだ。

彼らの代表作は、アンゴラ村長がリズミカルな縄跳びと珍妙なダンスを披露して、男性のスーパー3助がそれにツッコミをいれていくというもの。
アンゴラ村長はこのネタに関して「(好きじゃないと)あんなに楽しく踊れないですよね」と語っていた。
つまり、彼らは直接恋愛のことをネタにしているわけではないが、恋愛関係を原動力にしてネタを演じている男女コンビなのだ。これも本当に珍しいケースだ。

ビジネスライクな男女コンビに比べると、恋愛関係に基づく男女コンビの方が、「いつ別れるのか?」「いつ結婚するのか?」といった下世話な興味を引くことはできる。
2人がこれから結婚したり、破局したりすることがあれば、そのこと自体がまたニュースになるだろう。
にゃんこスターは男女コンビの歴史に名を刻む異端の「第三世代」なのかもしれない。(ラリー遠田)