歌手・安室奈美恵(40)の引退表明は「美談」に非ず。計算し尽くされた「ビジネス」の臭いがする。
本誌(「週刊新潮」)10月5日号ではそう指摘したが、用意周到すぎる華麗な引退ビジネスが早くも始まった。それはあたかも、練りに練られた大規模な「閉店セール」のようでもあり……。

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安室が自身のHP上で来年9月16日に引退することを表明したのは去る9月20日だった。この時点では11月にベストアルバムが発売されることしか明かされていなかったが、
翌21日、HP上で発表されたアルバムのタイトルはその名も「Finally」。“最後に”の意である。

「21日の午後8時からアルバムの予約が始まり、アマゾンなどCDの通販を行う主要7サイトの22日付の予約状況ランキングで軒並み1位を獲得した」

と、スポーツ紙記者。

「また、26日には、ベストアルバムに収録されている新曲『Finally』が、日本テレビ系のニュース番組『NEWS ZERO』のテーマ曲に決定したことがHP上で正式に発表されました」

引退表明後、矢継ぎ早に発表されたアルバムタイトルと新曲のタイアップ。この他にも、10月6日から放送が始まる、動画配信サービス「Hulu」のCMに安室が起用され、

「新曲『Do It For Love』が使用されています。それだけではなく、『Hulu』では、10月1日から、
安室の真実に迫るというフレコミのドキュメンタリー番組『Documentary of Namie Amuro “Finally”』の配信が始まった。この番組は引退する来年9月まで、毎月シリーズ配信されることになっています」

「お名残興行」
 
こうした立て続けの展開が示すのは、次の事実だ。やはり引退表明前に様々なことを計算し尽くし、仕込んでいたのである。これのどこが「美談」なのか。
どの辺りが「伝説」になるのか。安室の引退表明後、一部のスポーツ紙は、それを山口百恵の電撃引退になぞらえて報じた。
が、安室の引退表明の背景には打算しか見えず、打算とは無縁だった山口百恵と比較するのは、山口百恵本人やファンに失礼というものである。

「山口百恵は1979年10月のコンサートで俳優・三浦友和との交際宣言をし、その約半年後に婚約発表と引退宣言。
そしてそれから半年後に武道館での最後のコンサートが行われたのですが、引退宣言から最後のコンサートまで、安室のように用意周到な感じはしませんでした」(ベテラン芸能記者)

評論家の唐沢俊一氏の話。

「日本人は“これで終わり”というのにとにかく弱い。引退ビジネスは今に始まった話ではなく、歌舞伎の世界には昔から『お名残興行』というものがある。引退を表明してから客を集め、御贔屓筋から御祝儀をもらうわけです」

安室の「お名残興行」はまだ始まったばかり。その好調な滑り出しを眺めて、“興行主”はほくそ笑んでいるに違いない。

「週刊新潮」2017年10月12日神無月増大号 掲載

10/11(水) 5:59配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171011-00531265-shincho-ent

写真
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20171011-00531265-shincho-000-view.jpg