東名高速の追い越し車線で車を停止させた男性は殺人罪ではないのか?

弁護士見解

殺人罪とは、刑法で以下のように定められています。
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

この罪に該当するには、人を殺したこと、すなわち、「殺人の実行行為」と
「実行行為の結果人が死亡したこと」の要件が必要とされています。

要は、人が死ねば良いと思って飛行機に乗せた結果事故で死亡した
としてもそれを殺人罪として処罰しないために、殺人罪の実行行為として、
「人が死に至る危険性のある行為」が要求されることになっています。

そこで、「高速道路の追い越し車線で車を強制停止させて、後続車からの追突の危険にさらす行為」が、
「人が死に至る危険性のある行為」と言えるかが問題となります。
この点、多くの判例は「車を一定程度のスピードで衝突させること」については、
殺人の実行行為としています。
よって、車が一定程度のスピードで衝突する危険性が高い状態におけば、
車を衝突させたのが加害者自身でなかったとしても、「人が死に至る危険性のある行為」といえます。

高速道路の追い越し車線で車を強制停止させる行為、それも本件のように夜間であれば、
後続車が高速度で衝突する危険性が高い状態に置く行為といえるでしょう。

よって、結論として、今回逮捕された男性の行為は殺人の実行行為といえると考えます。