「体育の日」を前にスポーツ庁は8日、2016年度の「体力・運動能力調査」の結果を公表した。7、10歳男子と9、12、13歳女子に加え、60〜64歳男性と75〜79歳女性で体力テストの成績が現行方式で最高となるなど、子どもと高齢者の運動能力の向上が鮮明になった。体格が良くなったことや、健康志向の高まりなどが要因。一方、30〜40代は低下しており、専門家は運動不足が原因とみている。

 調査は東京五輪が開かれた1964年度に始まり、現行方式になった98年度から60、70代も対象に加えた。今回は昨年5〜10月に6〜79歳の男女約6万5000人を調査。体力テストは各種目の成績を10点満点で得点化し、19歳までは年齢ごと、20歳以上は5歳ごとに結果をまとめた。

 6〜19歳は8種目で測定した。上体起こし▽長座体前屈▽反復横とび▽20メートルシャトルラン(中学生以上は持久走との選択)▽50メートル走▽立ち幅跳び−−は、ほとんどの年齢で男女とも緩やかに向上している。50メートル走は11歳男子では98年度の8秒93から8秒79になった。

 一方、ソフトボール(中学生以上はハンドボール)投げは握力とともに低下傾向にあり、11歳男子では98年度の29.77メートルから27.21メートルになった。親しむスポーツが多様化し、野球をする子どもが減ったのが一因とみられる。

 全体的に向上傾向にあるが、ピークだった85年度の水準には戻っていない。

 65歳以上の高齢者は握力、開眼片足立ち、6分間歩行など6種目の合計点だけでなく種目別でもほとんどで向上している。

 女性は20〜24歳、25〜29歳も過去最高だったが、35〜39歳と40〜44歳は最低で、同年代の男性も98年度の成績を下回った。スポーツ庁の運動頻度に関する別の調査では、週3日以上運動する人の割合が30代の男女は11.7%と全年代で最も低かった。今回の調査に協力した順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「30代になると仕事や家事、子育てに追われ、スポーツをしたくてもする時間がないのだろう」と分析している。【伊澤拓也】

 ◇入学前の外遊びで差

 スポーツ庁が8日に公表した2016年度の「体力・運動能力調査」で、入学前に外で遊んでいた小学生ほど、体力テストの成績が高い傾向が明らかになった。同庁は「幼児期の外遊びが運動習慣の基礎を作り、体力向上の要因になっている」と分析している。

 今回初めて、6〜11歳の男女に小学校に入る前、1週間のうちどれくらい外で遊んでいたかを尋ね、体力テストの結果との関係を調べた。

 小学5年にあたる10歳でみると、男子は「週に6日以上」外で遊んでいた児童の体力テストの平均が80点満点中57.9点だったのに対し、「週に1日以下」の児童は52.8点。10歳の女子は「6日以上」が59.1点、「1日以下」は51.2点で男子より差があった。

 入学前に週6日以上外で遊んでいた10歳の男子のうち72.7%、女子の60.1%が現在、「ほとんど毎日運動している」と答えた。一方、週1日以下しか外で遊ばなかった男子のうち、ほとんど毎日運動しているのは45.2%、女子は13.3%にとどまった。

 こうした傾向は小学生の全ての年齢で共通するといい、スポーツ庁は就学前に外遊びに親しむ環境作りを進める。【伊澤拓也】

10/8(日) 22:29配信 毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171008-00000051-mai-soci

体力テストの合計点の推移
https://amd.c.yimg.jp/amd/20171008-00000051-mai-000-2-view.jpg