2018年ロシアワールドカップ本大会まで8カ月。本格的サバイバルの重要な一歩となるのが10月6日に豊田スタジアムで行われるニュージーランド戦だ。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は長谷部誠(フランクフルト)、岡崎慎司(レスター)、本田圭佑(パチューカ)の30代3人を外し、これまで出場機会の少なかった面々にチャンスを与えることを明言している。今回、誰が抜擢され、誰がその好機をつかむのか。そこが最大の注目点と言っていい。

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前回の最終予選終盤2連戦で、指揮官は4-3-3のシステムを採用。ロシア行きの切符がかかった8月31日のオーストラリア戦(埼玉)で早速結果を出した。だが、これまでの日本代表の基本布陣は4-2-3-1。本大会に向けた「第3段階」の第一歩となるニュージーランド戦は原点回帰を図って、慣れたシステムで挑むことになりそうだ。その前提で予想スタメンを考えてみたい。

■槙野にとってのラストチャンス

まず守備陣だが、GKは正守護神の川島永嗣(メス)が引き続き出場するのか、新たに東口順昭(G大阪)が抜擢されるのかは判断が分かれるところ。東口は2011年3月の東日本大震災復興支援チャリティマッチでA代表に初招集されてから足掛け7年。これまで2試合しかプレー機会を与えられてこなかった。「基本、遠回りするタイプなんで」と本人も苦笑していたが、さすがに出番が少なすぎるのは確か。今年からA代表に呼ばれるようになった中村航輔(柏)も含めて、GKのバックアップの層が薄すぎる。そんな現状を踏まえると、計算できる川島をあえて外し、Jリーグベスト守護神と評される東口がゴールマウスを守ることになるのではないか。「他の2人にない強み?シュートストップもそうですけど、クロスボールの対応、その後のフィードは負けていない」と彼自身も自信を持っている長所を前面に押し出し、チームに安心感を与えたいところだ。

DFはこれまで酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、昌子源(鹿島)、長友佑都(インテル)の4枚がベースになっていたが、ハリルホジッチ監督もこの機に実績の少ない選手を起用したいところ。しかしながら、守備陣を大きく変化させてしまうとチームが一気に崩れかねない。おそらく昌子のところに槙野智章(浦和)か植田直通(鹿島)を起用するくらいで、あとはそのままで行きそうな気配だ。

見る側としては植田と吉田の長身コンビが恵まれた体躯を武器に挑んでくるニュージーランド相手にどこまでやれるかをチェックしてみたい気持ちもあるが、指揮官は槙野の見極めを優先する意向のようだ。最終予選では昨年10月のオーストラリア戦(メルボルン)で左サイドバックとして出場しただけで、その後1年間はピッチに立てていない。しかし槙野は、9月27日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)・上海上港戦で元ブラジル代表のフッキやオスカルと激しいバトルを披露。ハリルホジッチ監督に「もう1度、使ってみたい」と思わせたのだろう。すでに30代に突入している彼にとっては今回はアピールのラストチャンスになる可能性もあるだけに、ノーミスはもちろんのこと、安定感のある守りを見せる必要がある。

■“10番”の状態は?

中盤は前回のオーストラリア・サウジアラビア戦(ジェッダ)2連戦に続けて先発した山口蛍(C大阪)と井手口陽介(G大阪)のボランチコンビが濃厚。問題はトップ下だ。クラブでの出場実績を見ると小林祐希(へーレンフェーン)や倉田秋(G大阪)が勝ってはいるものの、6月のシリア戦(東京)で左肩を脱臼し、そのまま代表戦から遠ざかっている香川真司(ドルトムント)の状態を確認することは重要なテーマ。そこは指揮官としても優先しなければならない点だ。

香川はピーター・ボス新監督率いる今季ボルシア・ドルトムントで出遅れ、インサイドハーフとしてはゴンサロ・カストロ、マリオ・ゲッツェに続く位置づけとなっている。9月26日のチャンピオンズリーグ(CL)のレアル・マドリー戦で出番がなかったのが、現在の厳しい序列を物語っている。とはいえ、30日のブンデスリーガ第7節のアウグスブルク戦での芸術的ゴールで評価は急上昇。プレーにもキレと鋭さが出てきて、復調しつつあるのは間違いない。

今回の代表攻撃陣でも、キャップ数87試合・28得点というのはダントツの数字。突出した存在であるからこそ、エースナンバー10としての存在感を再認識させる必要がある。守備面でのハードワークや球際の強さを含め、彼の動向をしっかりと注視していくべきである。