シンガーソングライターの宇多田ヒカルさんがテレビ番組で
「東京は子育てしにくい」と発言した。友人から
子どもと外出した際に嫌な体験をしたことがあると聞いたという。
宇多田さんは現在、2015年に生まれた長男をロンドンで育てているが
現地では「子連れでどこに出ても嫌な顔はされない」。

内閣府の調査でも、海外で育児経験のある日本人の多くは
「海外の方が赤ちゃんや子連れに優しい社会だ」と考えているという結果だった。日本社会は、そこまで育児に無理解なのだろうか。

宇多田さんは15年7月3日にブログで出産を公表して以来
ツイッターでも育児についての投稿が多い。2016年10月20日放送の
「NEWS ZERO」(日本テレビ系)のインタビューで
「日本で子育てしたことがないので、私の認識が間違っている可能性も
ありますが」としながら、東京で育児中の友達に聞いたという話を紹介した。
東京って、なんて子育てしにくそうなんだろうと、ビックリします。
外で赤ちゃんが泣いていたらすごく嫌な顔をされるとか
ベビーカーで外に行って乗り物に乗ると、周りがまったく協力してくれない上に
『なんだよ、こんな時間に...』みたいな視線を投げかけられたり
実際に何か嫌なことを言われたり、という体験談を結構聞くんですよね」そして
、「赤ちゃんが生まれて国が成り立っていくのに、その赤ちゃんが将来自分の年金
を払う人になってくれるのに、なぜそんなちょっと泣いているぐらいで嫌な気持ちに
なるんだろうって、すごく不思議です」と語った。

一方ロンドンは、「公園やレストラン、お店でも、お母さんと赤ちゃんが
そこら中にいるんです。レストランで授乳も全然しますし、嫌な顔は何もされないです」
と明かす。宇多田さんは、育児に対する理解の高さはロンドンに軍配を上げた。

子連れで外出して傷ついたというエピソードは、相談サイト「Yahoo!知恵袋」
でもいくつも報告がある。10月15日の投稿者は、子どもとバスに乗ったら
高齢者に「あからさまに嫌な顔をされた」「『ベビーカーたたみなさいよ』
と言われた」といい、「本当に子育てしづらい世の中だと感じます」と思いを吐露した。

8月31日に投稿した相談者は、「ママ友」と子連れでランチバイキングに出かけたら
店内を動き回ったり大声を出し始めた子どもたちに対し、中年の女性グループから
「すごい形相で『うるさい!』と言われてしまった」そう。すると、子どもが泣き出して
「食事どころでなく、慌ててお店を出ることにした」。相談者は、「子どもの騒ぎ声は
迷惑でしょうし十分反省している」としつつ「そんなに冷たくされるとは、本当に悲しかった」という。

教育玩具を販売するボーネルンド(本社・東京都渋谷区)が15年4月21日に発表した
「現代の子育て環境や子どもがいる場面に対する意識調査」によると
子育て中の母親412人のうち、「自身の周囲や現在の日本社会は子育てに寛容だと思うか」
の質問に、「とても寛容だ」「やや寛容だ」と答えたのは13.9%にとどまった。
「あまり寛容でない」「まったく寛容でない」と答えたのは47.3%だった。
「子どもと外出中に不安や不便を感じたり困ったりしたら、どうしているか」の質問には
82.7%が「我慢して1人で解決しようとする」と答え、「他人に協力を求める」のは18.9%だった。