8月23日の本拠地・等々力陸上競技場でのアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦で浦和レッズを3−1で下し、圧倒的優位に立っていた川崎フロンターレ。9月13日の敵地・埼玉スタジアム2002での第2戦も19分にエウシーニョが先制弾を叩き出し、このまま川崎が4強入りすると誰もが思ったことだろう。

 流れをガラリと変えたのが38分、車屋紳太郎の退場劇だった。興梠慎三に対し左足を顔の近くまで上げたファウルが一発レッドと判断され、川崎は数的不利を余儀なくされたのだ。これを受け、鬼木達監督が絶対的リーダー・中村憲剛、中盤の司令塔・大島僚太を次々と下げた采配も追い打ちをかけ、まさかの1−4の大逆転負けを喫したのだ。

 指揮官は「もう切り替えるしかない」と前を向いていたが、チームが崩れるきっかけを与えた車屋のショックは大きすぎた。まずサポーターやチームメート、スタッフにお詫びしたうえで「正直、納得がいかない点の方が多いし……。前向いてて、後ろ向いた瞬間だったんで、最初見えなくて、当たったって感覚もなかったし、まさかそれでレッドっていうのは自分としては思わなかった。たぶん当たってないと思いますけど……。気負いすぎたとか全くなくて、普通にプレーしてただけなんで、そういう中で出ちゃった感じですかね」と故意のプレーではなかったことを強調した。

 ただ、アジアのレフリーは想定外のジャッジを下すことが往々にしてある。筑波大学時代にユニバーシアード代表の経験はあるにせよ、年代別代表やA代表経験がなく、ACLも今回初挑戦の彼には想像だにできないものだったはず。それを境に屈辱的敗戦につながってしまったことも、車屋のプロ人生では初めてかもしれない。

「チームとして守り切れなかった? 数的不利になって、セットプレーにつながったのは大きかった。(浦和FWズラタンの)2点目もそうだし、それでかなりリズムが変わっちゃったと思いますね。どこかで自分が負けた分を取り返さなくちゃいけないし、自分がやらなくちゃいけないことなんで」と彼は何とか言葉を絞り出していた。

つづく

9/19(火) 11:31配信 
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