●CF編

◆起用された選手=岡崎慎司、大迫勇也、興梠慎三、川又堅碁、金崎夢生、ハーフナー・マイク、杉本健勇、武藤嘉紀(※)浅野拓磨(※)、本田圭佑(※)
(※は他のポジションでも出場)

2016年10月、イラクに辛勝したホーム戦まで、岡崎は20試合中14試合に先発。CFの軸だった。
2015〜16シーズン、所属するレスターがプレミアで快進撃。まさかの優勝を飾ると、岡崎を見る周囲の目も変わった。翌2016〜17に出場したチャンピオンズリーグではベスト8に輝く。
これは香川、本田、長友と並ぶ、日本人では2位タイ(1位は内田の準決勝進出)の好成績になる。

キャリアに大きな箔をつけた岡崎だったが、ハリルホジッチの評価は低かった。オーストラリアとのアウェー戦では、ついに先発の座を奪われた。
本田の0トップ。CFが本業ではない本田にポジションを奪われるというCFとしての屈辱を、2010年南アフリカW杯に続き、またも味わうことになった。7年前に岡崎が見せた悔しそうな表情を思い出さずにはいられない。

とはいえ、それは理に適った作戦ではあった。ハリルホジッチがこの試合で選択した4−3−3は、従来の4−2−3−1に比べ、CFと2列目の選手とが離れた関係にある。
ここでCFに求められるのはキープ力。時間を稼ぐポストプレーだ。それに長けた本田のCF起用は妥当な選択だった。実際に機能したかどうかは別にして。

4−2−3−1の場合でも1トップ下の香川との兼ね合いを考えると、CFはポストプレーヤーの方がふさわしい。
香川も岡崎同様、相手に背を向けたプレーが得意ではないので、岡崎・香川のコンビを採用すれば、高い位置でボールが収まりにくくなるのだ。

CF岡崎と1トップ下でコンビを組む相手には、香川より本田の方が適している。しかし、ハリルホジッチは本田を、1トップ下ではなく右で使う。
オーストラリア戦以降、CFの座に岡崎ではなく大迫が座り続けることになった大きな理由だ。

かつて大迫について「ゴールに積極的ではない」と、ネガティブな言葉を漏らしたハリルホジッチだが、いまその言葉は聞かれない。ボールの収まるCFとして大迫は確かに機能している。
4−3−3の使用頻度がここにきて高まっている理由も、ポストプレーが得意なその存在と深く関係していると見る。

一方、ハリル采配に賛同できないのは、大迫が台頭する直前、岡崎とポジションを争っていた金崎の処遇だ。
所属の鹿島の試合で、交代を命じられてベンチに下がる際、石井正忠監督(当時)の握手を拒否したとされる事件が起きたのは去年の夏。それを問題視したハリルホジッチは、いまだ金崎の招集を見送っている。
しかし、そこまでこだわる問題だろうか。逆に、ハリルホジッチの監督としての器が小さく見える。

金崎はポストもできれば飛び込むこともできるいわば万能型。代表に欲しいCFだと思われるが、
国内組<海外組の理屈がそこに介在しているのだとすれば、第2列のところで述べた小林悠の件と同様、ナンセンスだ。

CFには調子のいい選手を使えという鉄則がある。該当者は積極的に試すべきだ。

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